怪異古生物考

元々空想の動物なのかと思いきや、考古学的な観点で行くと、実は存在したのだという。もっともそのことを知ったとき、「嘘だろ」と思ってしまったのだが、実際にかつてそれらしき「骨」が見つかったのだという。そのめくるめく怪異の古動物たちはどのような存在か、そのことを取り上げている。

1章「ユニコーン」
ユニコーンはヨーロッパの神話の中でもよく取り上げられているのだが、その伝承はインドから伝来したものであり、それがヨーロッパの神話の中で生成づけた。そのインドの伝承の中ではサイによく似たものであり、なおかつそれにまつわる骨があった。

2章「グリフォン」
「アリス」という物語の中で出てくる怪物として上半身が鷲、下半身がライオンのグリフォンである。そのグリフォンも紀元前の歴史の中で何度も登場している。さらに遡ってみるとそれらしき骨があるのだが、実際には恐竜時代の骨だったという。

3章「ルフ」
怪鳥といっても様々な種類があり、アラブの世界において伝説と呼ばれる怪鳥として「ルフ」がいる。猛禽類中の猛禽類として言われている猛獣であるが、そのルフの伝承の素となったのも恐竜の骨である。

4章「キュクロプス」
ギリシャ神話の一つ目の神として存在している「キュクロプス」の正体について取り上げているのだが、その正体はマンモスの骨から伝えられているという。巨人のモデルとなるに際し大型の骨が参考になるとして、その骨を下にキュクロプスが生まれた。

5章「龍」
龍(ドラゴン)は世界中の伝承にて語り継がれており、それぞれの起源が異なる。しかしながらその龍の骨は日本の滋賀県と群馬県に存在したという。その正体はワニらしきものであったのだが、そこから龍が形成づけられたとも言われている。
6章「ぬえ」

日本の怪異の中であるのものはいくつかあるのだが最初は「ぬえ(鵺)」である。頭は猿で背は虎、尻尾は狐、そして手足は狸といった要素が数多くある。本章ではあくまで仮説としてレッサーパンダらしき動物の骨からつくられたことを題材にして検証している。

7章「天狗」
日本独特の怪異であり、なおかつ様々な物語にて引き合いに出されるようになった。そのモデルとなった野は平賀源内の「天狗髑髏鑑定縁起」にも登場しているのだが、天狗の骨があったのだという。

8章「八岐大蛇」
古事記や日本書紀にも出てくる伝説的な怪異として「八岐大蛇(ヤマタノオロチ)」がいる。海外でも日本の伝説的な怪物として取り上げられるほど名高い。本章では物理学者の寺田寅彦がいる。寺田は火山現象をもとにして八岐大蛇を考察しているのだが、その因果関係について考察を行っている。

9章「鬼~終章のかわりに」
日本における怪異としての一つに鬼もいる。その鬼の体格と角など様々な骨からできていると言われているのだが、そのことを取り上げている。

空想、もしくは伝説的な生き物・怪物は様々な資料によって成り立っているのだが、その中には骨を参考に形成づけられたとも言われている。実在していたかどうかとは別としてなぜ物語に出てくる怪物・生き物ができあがったのか、興味深く考察されており、なかなか面白く読める一冊であった。