ジャック・オブ・スペード

簡単に言うと「スペードのJ」であり、ハートのQ、クラブのKに並ぶほど有名なものである。いわゆる「トリックスター」と呼ばれるような要素であるのだが、「ジャック」という言葉というと19世紀末期のイギリスにてよく呼ばれた「切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)」を連想してしまうのだが、本書で取り上げている小説家2人はむしろそのジャックを思い浮かべてしまうほどのミステリーである。

本書は2人の小説家によって織りなすミステリーであるのだが、その2人の小説家の描く小説は「残酷」という言葉でしかないとも言える。しかしその残酷さの程度は作家によって異なっているのだが、その2人の作家を巡って「盗作」の疑惑が浮かび上がってしまう。しかしその盗作疑惑が身の毛がよだつような「事件」にまで発展してしまう。まさに「事実は小説よりも奇なり」という言葉を物語にして表すとこうなると言える一冊であった。