人生に疲れたらスペイン巡礼 飲み、食べ、歩く800キロの旅

スペインは別名「情熱の国」と呼ばれるほどの国である。ヨーロッパ大陸に位置づける国であれど、ラテンの印象もあり、そのことが情熱差を増長されている。世界最高峰のサッカーリーグの一つであるリーガ・エスパニョーラも行われており、銀河系軍団であるFCバルセロナやレアル・マドリードなどが在籍している。さらには世界三大自転車レース(通称:グランツール)の一つであるブエルタ・ア・エスパーニャも開催される国としても知られている。

スペインは文化、さらには食なども盛んであり、巡礼するにも面白味があるのだが、著者は疲れたときにこそ癒やしのスポットとしてスペインを薦めている。その理由について自らの巡礼したスポット・体験談をもとにして語っているのが本書と言える。

第1章「スペイン巡礼とはなにか」
本書はあくまで「巡礼」であり「旅」ではない。その理由としてはスペインにおけるキリスト教としてのスポットを旅することである。しかも本書で取り上げる巡礼は「スペイン版お遍路(p.20より)」とあることから宗教色が強い。
スペインにおける宗教的なスポットに訪れることができるだけでなく、「クレデンシャル」と呼ばれる巡礼手帳をもらうことができ、それがパスポートとなって宿泊費も安くできるという金銭的な利点もあるという。宗教的施設の中には世界遺産に登録されるほど有名なものもあるため、ある種「観光」の要素としてもある。

第2章「わたしの巡礼」
しかし「巡礼」とだけあるため、基本的には歩きながらスポットを目指すこととなる。そのため1日数時間もの道を踏破するようなこともざらにあったのだという。しかもその道の中には山道や畦道もあり、歩くにも難しいような場所もしばしばあったのだという。

第3章「自分らしい巡礼路を楽しむために」
スペインの巡礼は一つではなく、何回巡礼をしても違うルートを選ぶことによって、バリエーションも楽しさも増えてくる。さらにはワインやビールなどのアルコールも豊富であり、なおかつスペインならではの料理の種類も多数ある。巡礼という名の観光を行い、なおかつ宗教的な巡礼を行うことによって心身の疲れを癒やすといった効果もあるという。

巡礼というと宗教的な修行を連想してしまうのだが、本書はあくまで観光に近い部分が強い。しかしながら宗教的な施設やスポットに訪れることが主目的であり、文化や食に触れることはあくまでそこから派生した要素であることは忘れてはならない。それであっても、スペインを巡礼をする楽しさをここぞとばかりに伝えた一冊と言える。