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2018年12月

働きながらリスクゼロで小さく稼ぐ 朝晩30分好きなことで起業する

少し前に書いた本の前著にあたる一冊なのかもしれない。そこで取り上げたことと少し重複するのだが、サラリーマンが安定して稼げる時代ではなくなり、なおかつそれだけで満足に生活できるとは限らなくなってきた。現に「ワーキングプア」もおり、なおかつリストラもあるため、「安定」を求めてありとあらゆる手段をとる人も少なくない。 中でも「副業」は長らく禁止の風潮が強かったのだが、政府主導で副業解禁の動きを見せるなど […]

欺きの童霊 溝猫長屋 祠之怪

怪談というと怖いイメージがあり、これから寒くなるシーズンとしてはますます背筋が凍ってしまうような状況にもなりかねないので「季節外れ」とも言えるような話かもしれないのだが、本書で紹介される怪談は怖いというよりも「面白い」「心温まる」といったいわゆる「怪「綺」談(かいきだん・怪談と綺談を合体させ、怪談でありながら面白く織り込まれた物語)」と言えるような一冊である。 とある長屋にて亡くなった人の祠(ほこ […]

「医療的ケア」の必要な子どもたち―第二の人生を歩む元NHKアナウンサーの奮闘記

「医療的ケア」という言葉はメディアでも取り上げられているのだが、実際にどのようなケアなのか、実際に医療行為とケアとは似て非なるものであるのだが、その両者の違いとはいったい何なのか。元々NHKアナウンサーであったが、その実態を知り、退職し、こどもたちに医療的ケアの活動を行っている著者自らが綴った一冊である。 第1章「NHKから、もみじの家へ」 著者はNHKアナウンサーとして1986年に入局し、夕方の […]

12月25日の怪物―謎に満ちた「サンタクロース」の実像を追いかけて

巷では既にクリスマスに向けた商戦が行われている。ケーキにしても、チキンにしても予約販売が周囲を見ても行われており、盛んに行われている。クリスマスまではこれが続くのだが、どのような商戦になるのかは見てみたいものである。 その12月25日のクリスマスというと連想するのはサンタクロースであるのだが、本書のタイトルは「怪物」と形容している。かつて1980年にアメリカにて公開されたホラー映画である「サンタが […]

「超」入門 空気の研究 日本人の思考と行動を支配する27の見えない圧力

著者の鈴木様より献本御礼。 本書は今から41年前に上梓された評論家である山本七平(やまもとしちへい)の「「空気」の研究」を「超入門」という形にて解説されたものである。ちょうど良いタイミングなのかどうなのか不明だが、本書が上梓されるのと同時期に文春文庫にて文庫化されることから、本書と元となった本を比較すると良い。 本書の話に戻すと、かつては「KY」、昨年は「忖度」と流行語になったのだが、周囲の状況に […]

余計なことはやめなさい!―ガトーショコラだけで年商3億円を実現するシェフのスゴイやり方

株式会社オトバンク 上田様より献本御礼。 成功をするためにはやるべきことは色々とあるのだが、そのやるべきことの中には「余計なこと」と呼ばれるものが少なからずある。その「余計なもの」をこなしていくことによって成功へ近道を歩むどころか、かえって遠回りをしてしまうことにもなる。最短距離をして行くためにはそれらを「捨てていく」ことが重要になってくるのだが、その「捨てる」ことの重要性と、どのようにして「捨て […]

ガルシア=マルケス「東欧」を行く

本書の著者であるガルシア=マルケスはコロンビアの作家であり、4年前に逝去した。1982年にノーベル文学賞に輝き、なおかつ「百年の孤独」や「コレラの時代の愛」など多くの名作を生み出した。 そのマルケスは「記者」としての側面があった。戦後間もない1950年代には「エル・エスペクタドール」の新聞記者として活躍した時代があり、本書で紹介される紀行エッセイも1957年に東欧の「鉄のカーテン」を潜入して、その […]

二十一世紀の若者論―あいまいな不安を生きる

若者論は今も昔もあるのだが、悲しいことに古代から「俗流若者論」なるものがある。簡単に言うと「近頃の若者は…」というような話は古代(厳密にはソクラテスの時代)からずっと言ったり、言われたりし続けているような状況にある。 若者論というと水掛け論のような印象を持つのだが、実際には若者の文化と考え方には時代の変遷がある。その変遷を追っているのが「若者論」であり、本書はそのうち21世紀の若者はどのような変遷 […]

私はあなたの瞳の林檎

初恋はいつの世も甘酸っぱいものが多い。その初恋の年代が若ければ若いほど、その度合いが強まってくる。本書も例外なく、その甘酸っぱさを余すところなく描いている小説である。その初恋を全部で3編取り上げられている。 中でも甘酸っぱさを際立たせたのが、本書の表題作である。ある男の子に初恋してしまい、告白をするのだが、その男の子は軽くあしらわれてしまう。しかしながらその主人公は諦めきれず、再び告白をしようとす […]

「公益」資本主義 英米型資本主義の終焉

資本主義の概念自体は古代から存在していたのだが、実際に提唱され始めたのは18世紀半ばにアダム・スミスやデイヴィッド・ヒュームらによって「見えざる手」が提示された時からといわれている。そこから先進国を中心に「資本主義」の概念が広がりを見せた。もちろん時代と共にその在り方は変わっていっているのだが、本書で取り上げる「資本主義」の変化については、英米式の「株主」を中心とした資本主義から「会社は社会の公器 […]