雑品屋セイゴオ

「千夜千冊」というもので有名な松岡正剛氏は、そのサイトを閲覧したり、あるいは書籍化した際の著書を読んだりして、刺激を覚えたことは私自身が書評をし始めたことであり、懐かしいものである。松岡氏のルールとまでは行かないものの、4,000冊近くも書評してきた中での大きな「原点」の一つとして松岡正剛氏の「千夜千冊」があったと言っても過言ではない。

私事はここまでにしておき「編集工学」として名を馳せ、「千夜千冊」を取り上げることで名を馳せてきた。また2009年から12年にかけて丸善丸の内本店にて「松丸本舗」をプロデュースしたことも記憶に残っている。その松岡正剛氏が様々な雑品への「フェチ」を存分にエッセイとして語り尽くした一冊が本書である。そのため本書の帯に「フェチあり□(ます・本来は四角に右上の斜線)」と記載されている。

第一隅「赤函 器憶(きおく)」
普段はごく当たり前にあるようなものばかりである。ノートにしても、歯ブラシに為ても、オリーブ油にしても、である。それぞれの定義はもちろんのこと、マニアックな内容や論考に至るまで、考えていくと、思わず、それに対して「フェチ」になってしまうようなエピソードばかり綴られている。

第二隅「橙函 在料(ざいりょう)」
石鹸や水枕、ブランコやインスタントラーメンなど、日常に「在る」ようなものを詰め込んだものである。それもまた焦点を当ててみるとルーツなども含めて奥の深いものであることがよく分かる。

第三隅「黄函 試想品(しそうひん)」
品の中には「お試し」と呼ばれるものも少なくない。もっと言うとそのお試しの中で面白いものもいくつかある。その「試用」のものを使ってみたところの「感想」というのこともあるのかもしれない。

第四隅「緑函 潜像品(せんぞうひん)」
タンスや棚の中に隠れている。いわゆる「潜んでいる」ような品々も数多くある。その品々の中でドライバーをはじめとした頻度は少ないながらも使われるものから、スカートやハガキなど日常的に使われるものに至るまでの品を取り上げている。

第五隅「青函 耽能品(たんのうひん)」
本書のコンセプトは「フェチ」であるのだが、本章ほど「極まれり」と呼ばれるような所はないと言える。とは言えど、エロいようなものではなく、ラムネにあるビー玉やおかき、座布団など使い方や見方によっては思わずフェチになってしまうような品々が揃えられている。

第六隅「藍函 観相剤(かんそうざい)」
実際に見たり、自分自身の体の相性を判断したりするようなものが所狭しと並べられているような章である。日常的に食されているものから、学校でしか出会えないものまである。

第七隅「紫函 特贈(とくぞう)お誂(あつら)え」
日常的にあるにしても「特別な」ものも存在する。その中でも特別な存在とはどのようなものがあるのか、本章ではそれらの品々を紹介している。

日常にあるものも深掘りしていくと「フェチ」になってしまうほどハマってしまうものがある。本書はその品々を紹介すると共に、思わずフェチになってしまうような要素も数多く紹介されている。

 

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