江戸東京の明治維新

激動と呼ばれた幕末から明治維新をかけて、「江戸」は「東京」へと変化していった。都も「京都」から「東京」に変わるなど、日本の根幹を大きく変化するような出来事があった。その中でも江戸、そして東京へと変化していった中で、幕臣や町、さらには遊郭など様々な変化があったのだが、どのような変化があり、「東京」となし得たのか、本書はその歴史を追っている。

第一章「江戸から東京へ」
江戸というと「実質的な」中心であった。というのは徳川家、そして江戸幕府があったことに他ならない。もっとも「中心」であるのは江戸と言うよりも、当時天皇家が住む朝廷のあった「京」、現在の京都が中心地であった。しかしながら大名の多くは江戸を中心に見てきたこともあり、江戸における統治のことを取り上げている。

第二章「東京の旧幕臣たち」
幕末に賭けて、現在の大名たちがそれぞれの国に帰ったことにより江戸の人口は遊撃に少なくなったという話がある。幕末として旧来在った江戸時代の身分制度にも変化が見られ、明治維新によって淘汰された人びともいた。

第三章「町中に生きる」
江戸・東京という町中で暮らしている人びとにも変化があった。将軍のお膝元である江戸で暮らしている商人たちが明治時代になった時に、大きな変化があったのだが、どのような変化だったのかを追っている。

第四章「遊郭の明治維新」
「遊郭」というとイメージでは「吉原(現在の東京都台東区千束)」のイメージがあり、本章でもその吉原を中心とした遊郭、そしてそこで働く遊女たちの変化と闘いを取り上げている。

第五章「屠場をめぐる人びと」
屠場(とじょう)というとけっこう気が引けるようだが、現在も東京の芝浦に「東京都中央卸売市場食肉市場」、通称「芝浦屠場」と呼ばれる所がある。主に食肉を加工するための工場である。

本章ではその屠場の変化もあるのだが、主に「エタ」「非人」といった「賤民」の身分廃止についての経緯も述べている。

幕末と共に江戸と呼ばれた地が東京へと変化する時に、その激動はその地にも多大な変化をもたらした。歴史の教科書にある武士や幕臣の変化もあるのだが、町中や遊女など、いわゆる歴史の表舞台に出てこない人たちにもその影響はあったことを本書は証明している。