マーティン・ルーサー・キング――非暴力の闘士

第二次世界大戦後のアメリカでは黒人差別が深刻化してきたのだが、その中で差別に対して戦った人も少なくない。戦った人の中にも歴史的に有名になった人物もおり、本書にて紹介するマーティン・ルーサー・キング(通称:キング牧師)もその一人である。そのキング牧師はいかにして黒人差別から立ち向かい、そして今のアメリカに影響を与えたのか、その足跡を追っている。

第1章「非暴力に出会う」
キング牧師が誕生してから、施設としても白人・黒人の差別が色濃く存在しており、制度としても「法的人種隔離制度」なるものが樹立されていた時代であった。その時代に対し、いかにして差別と戦ってきたのか、キング牧師の戦い方は「非暴力」であった。白人主義の暴力に対して「非暴力」にて改革を進めていく姿。その出会いは、遠くはなれたインドにおけるマハトマ・ガンジーの姿があった。

第2章「非暴力を学ぶ」
当時の黒人は公民権が皆無に等しかった。その公民権に対して「バスボイコット運動」をローザ・パークスが実行し、公民権運動が高まっていく一方で、白人主義による暴力も広がっていった。キング牧師はその暴力に対し「非暴力」による「戦術」として対抗をすることとなった。

第3章「「創造的少数派」の戦術」
非暴力による運動は全てうまくいったわけではない。失敗もあり、逮捕されたことも、さらには暴力にさらされそうになったことも少なくなかった。しかし非暴力を主軸にした訴えに戦術を重ねていき、ようやく公民権獲得へのきっかけづくりを行うことができた。このころに有名な「I have a dream」の演説が誕生した。

第4章「非暴力に対する挑戦」
非暴力における改革は進んでいく一方で、ある人物が登場した。「マルコムX」である。マルコムXは黒人における自衛を容認するなどによって、非暴力とは異なるアプローチで支持を集めるようになったという。キング牧師の求心力も落ち始めたのもこの時期であったという。

第5章「最後の一人になっても」
また黒人における公民権運動も下火になりつつあり、キング牧師の演説も黒人差別からの解放から「反戦」と言う言葉が用いられるようになった。その背景には冷戦の象徴の一つである「ベトナム戦争」があった。

第6章「「実現せざる夢」に生きる」
黒人差別撤廃・反戦による改革を非暴力のデモと演説によって運動を進めてきたのだが、1968年4月4日、演説の途中でキング牧師は暗殺された。その遺志を引き継いだ人々がさらなる運動を広げたことにより、アメリカは変わっていった。まだ課題は残っているものの、キング牧師が訴え続けたことが実ったが自信の目で見ることはついにできなかった。

戦後のアメリカ史において重要な人物の一人として挙げられるキング牧師。かねてから移民社会として位置づけられた一方で、長らく続いた黒人差別に対して抗った人物であり、なおかつ今も世界中の心に残る演説もある。キング牧師の足跡は今もアメリカの社会に根付いている。

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