人生パンク道場

本書は著者自身へ寄せられた悩みについて答えると言う、人生相談的一冊である。先日も天龍源一郎の人生相談に関する一冊を取り上げたのだが、本書は作家の立場から答えている。

もちろん人生相談の中には面白おかしく答えるというのがあるのだが、本書はタイトルにあるように「パンク」は音楽に関するジャンルであり、「パンク・ロック」と呼ばれる。もっともその音楽はアメリカにて産声を上げたのだが、アメリカの影響を受けて、イギリスでも独自のパンク・ロックが生まれるようになった。

もっとも「パンク・ロック」はアナーキズムや左翼思想といった「反体制」を元に歌われたのだが、近年はだんだんとその色合いが薄くなってきており、他のロックに埋もれてしまうこともある。

音楽性はさておき、一つ一つの悩みの回答はまさに「正論」を持っているように思えてならない。そこから考えると、「パンク」という言葉の真逆を言っているようなイメージを持ってしまう。著者の小説はあまり観たことがなく、少し穿って見ているのかもしれないのだが、著者の表現が他の人と少し違って、独自の線を行っているとするのであれば、本書のお悩み相談は正論となっているため、少し今の自分から反するという面で「パンク」になっているのかもしれない。