トッピング 愛とウズラの卵とで~れえピザ

ピザはトッピングが様々であるため、つくる立場でも食べる立場でも面白い(もっとも私はつくったこと自体数えるほどしかないのだが)。その中には日本でしかできないモノ、さらにはその日本の中でも特定の地域でしかつくれないものまである。

本書はその中でも特に地域というよりも、さらにミクロになって本書が舞台となっている店でしかできないピザと家族の物語である。

特に家族となると、様々な模様があるのだが、本書で登場してくる家族は東奔西走する夫と、その夫の姿を心配する妻を描いている。

もっともなぜ東奔西走しているのかというと全ては妻への愛、家族への愛を持ってしてのこと。しかしその「愛」は暴走し、やがて加速していったのだが、それが悪い方向へは進まず、かえってハートウォーミングさを引き立たせる凄さがあった。家族とは何か、夫婦とは何か、それらを含めた「愛」とは何か、そのことを考えさせられる一冊であった。