ジョン・ロック――神と人間との間

イギリスの哲学者であるジョン・ロック(以下:ロック)は「統治二論」を始め多くの政治思想を発表し、近世における「名誉革命」やアメリカ独立宣言、フランス人権宣言に大きな影響を与え、学問はおろか、アメリカ・イギリス・フランスの歴史の中で重要な位置を持った人物としても挙げられる。そのロックの思想はどのように醸成していき、影響を与えたのか、生涯と共に追っている。

第一章「生涯」
ロックはイングランドの南西部にあるリントンという小さな村に生まれた。父はピューリタン革命の時期において騎兵隊長を務めた経験を持っている。家庭教育もまたピューリタン革命の思想を中心とした学問を学び、オックスフォード大学を卒業、哲学と医学を中心に学び、その後同大学にて講師を勤めるほどにまでなった。その時から思想家としてのロックが誕生し、新しい思想が次々と生まれるようになった。

第二章「思想世界の解読―方法の問題」
ロックの思想は「方法論」における傾向が強くあったのだが、そこには2つの系譜があったという。その系譜には統治を含めて、ロックは様々な「二論」を上梓したほどである。

第三章「政治と宗教―「神の作品」の政治=寛容編」
日本を始め、先進国では「政教分離」が原則とされているのだが、政治思想の中には「宗教」は必ずといっても良いほど入ってくることもある。近世までは政治と宗教は密着しており、司教や教皇らが政治的に関与することは日常茶飯事であった。ロックが生きた時代もまた近世であり、政治と宗教は密接な時代であった。そのために政治思想の中にも「神」の存在についての定義も成されていた。

第四章「生と知―「神の作品」の認識=道徳編」
道徳としてもまた「宗教」に密接するこことが大いにある。人間として生きるべき哲学と、その中で生まれる宗教への「信仰」の関連性についての思想を取り上げている。

ロックの思想として有名なものとしていくつかあるのだが、中でも「認識論」「経験主義」「社会契約説」などが挙げられる。哲学者であり、思想家であるのだが、政治的思想も数多く唱えたこと、そしてその思想は母国イギリスのみならず、フランス・アメリカにも大いに影響を与えた。その思想の根幹を本書にて垣間見ることができる。