僕は金になる

「金」は「かね」と詠んでしまいそうになるのだが、表紙にもあるように将棋の「金将」から「きん」と読む。しかしながら本書は将棋は将棋でも、「賭け将棋」と呼ばれるため、「かね」と言われてもおかしくない。また将棋以外にもギャンブルなどもあるため「かね」といった要素も色濃くあると言える。

家族もデコボコの様相である。父親はギャンブル好き、それでいて主人公の姉は将棋の天才でありながらも、父のギャンブルの種銭を稼ぐために、いわゆる「真剣師」として賭け将棋に興じているという関係である。ちなみに母親は離婚したことによりいないため、ギクシャクしているのかなと思いきや、先述の2人はそれを感じることなく楽しく生きていて、主人公一人がギクシャクしているように感じてしまうという端から見れば奇想天外な家族である。

デコボコの家族模様であるのだが、その家族模様は主人公は軽蔑しつつも年が経つにつれ、ある「変化」を生み出していった。その「変化」が家族としての在り方に対して問うていた一冊と言える。もっとも変化もタイトルから考えると「歩」から「と金」に成るといった感じがしてならなかった。

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