本書のタイトルだけを見ると、著者自身の汗の量がすごい印象を持ってしまうのだが、実際そうではなく、汗の効用について述べている。もっとも私自身も汗っかきなので、これから夏にかけては汗をかく量が半端ではない。また、最近では年齢もあってか周囲から汗臭さについて指摘されることもある。
汗というと私が指摘されるようなネガティブなものをイメージしてしまうのだが、もっとも夏は熱中症の時期になってしまう。その熱中症対策として汗をかくことが一つとしてある。そのために最近では塩分が入っているお菓子や飲み物も多く売られるようになった。本書は汗の効能について様々な観点から述べている。
第1章「汗とは何か」
そもそも汗とは何かというと、
「1.温度刺激によって汗腺から排出される分泌液。塩類・ピルビン酸・乳酸・アンモニアなどを含む。気温の高い時、激しい運動をした時などに体温調節の作用をするほか、痛覚・精神的緊張によっても出る。
2.物の表面に生じる湿滴。」(「広辞苑 第七版」より)
とある。身体の体温を減らすためにも重要な要素である。汗が出るところも全身にあり、部分によって出てくる汗も異なっている。また汗によって出てくる臭いやフェロモンもあるのだという。
第2章「エクリン汗腺とアポクリン汗腺」
特に後者の章題をみるとこちらを思い出してしまう。もっともインパクトのある表情である。
それはさておき、本章で取り上げるのは2つの汗腺であるのだが、どこを中心にあるのか、また汗の分泌量などがある。一つ断っておくのだが、アポクリン汗腺は決して全部出てくる汗が上記リンクにあるような、スパイシーな臭いが出てくるという訳ではない。
第3章「役に立つ汗・無駄な汗」
汗と行っても体温の上昇から和らげるだけ流れるわけではない。もっとも精神的に肝を冷やした時に出てくる、いわゆる「冷や汗」も存在する。ただ汗とひとえに言っても身体的な効果をもたらすようなものもあれば全く持ってして無意味なものもあるという。
第4章「体温調節の方法―核心温を守るための生体の戦略」
汗は体温調節の根幹をなしているのだが、その体温調節は汗が出てくることによって、どのようにして調節されるのか、汗がでる仕組みと、体温が下がる仕組みなども絡めて説明されている。暑さや寒さにおける人体の反応も含まれているため、人間としての体温調節の仕組みのほとんどを理解できる章である。
第5章「暑さに負けない身体の条件―暑熱順化とは何か」
おそらく今年の夏にかけては本章のことを知っておく必要がある。本章のキーワードとして「暑熱順化」がある。暑さに対応するために、発汗量や体温をいかにしていくかということを取り上げている。
第6章「熱中症と汗」
熱中症はすでに最近高温になってきた時期があり、そのときにも発症した方も数多くいる。また梅雨の時期が来て、梅雨明けした後は本格的な暑さがやってくるのだが、そのときにも発症する時期でもある。熱中症にもタイプがあるのだが、いずれの原因・対処にも汗が大きく関わってくる。
第7章「ストレスによる汗」
第3章でも取り上げているのだが、「冷や汗」のことである。冷や汗にしても、どこから汗が出てくるかによって変わってきており、冷や汗にしても、どのような刺激によって出てくるのかについて、暑さから出てくる汗とは異なっている。
第8章「こんなときの「汗」の意味」
汗は暑いときや冷や汗とは限らない。その一つとして更年期障害や寝汗などがあるのだが、その仕組みを取り上げている。
第9章「汗の異常」
汗は全部良いものばかりではない。逆に「多汗症」といった汗にまつわる病気も存在する。多汗症もそうであるのだが、汗腺にまつわる異常によって出てくる病気である。発症原因と対処について取り上げているのが本章である。
汗というと忌避する人もいるかもしれないのだが、人間という生き物は恒温動物であり、その体温調節を行っていくことで成り立つ。その要素の一つとして汗をかくことが挙げられ、生体のバランスを整えるにあたって重要な機能である。そのことを本書でもって知っておく必要がある。
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