「フリーライダー」と言う言葉をいくつかのメディアで聞いたことがある。調べてみると、
公共財を、対価を支払わずに使用する者「広辞苑 第六版」より
とある。今に始まったことではなく、電車で言うところの「キセル(乗車)」などがあり、さらに言うと店の無線のWi-Fiをただ乗りするような人もそうなのかもしれない。
ちなみに本書はあくまで「職場」における「フリーライダー」である。なぜ職場にフリーライダーが存在するのか、そしてフリーライダーは会社にとってどのような悪影響をもたらすのか、それに対する対策とはどのようなものなのか、そのことについて取り上げている。
第1章「ただのり社員に苛立つ職場」
フリーライダーと言われるような会社員はほとんどの会社においてどこにでもいる存在であると認識した方が良い。その理由としては何人もの会社員が同じ会社・組織内で働いている中で、様々な役割を担っているのだが、「人それぞれ」と言う言葉がある。その「人それぞれ」の中にはどうしてもサボりたくなるような人も少なからずおり、それがフリーライダーを生み出す要因にもなる。そのことで真面目な人たちが泣き寝入りするような環境になってしまう。それを避けるために解決に向けて動き出している所も少なくない。
第2章「フリーライダーの分類」
しかし「フリーライダー」はサボりだけにあらず、実務的な成果を横取りしたり、逆に組織の空気を悪い意味で破壊する、あるいはモチベーションを奪うといった分類がある。本章では分類をマトリックスにして4つの分類としている。
第3章「なぜフリーライダーが生まれるのか」
そもそも「フリーライダー」は誰にでもなる可能性があることを認識しておく必要がある。その上で、なぜフリーライダーが生まれるのかを解き明かしている。もっともこれは社会構造にも似ており、なおかつ英語の諺に、
「腐ったリンゴは隣を腐らす(The rotten apple injures its neighbor)」
とあるように、フリーライダーそのものが腐ったリンゴとなりうるという。それをいかに防止するために、分配の方法を変えるなどの案も本章にて提言している。
第4章「組織としての問題解決」
フリーライダー撲滅への手立てを組織的な観点から取り上げている。組織的にどのような会社作りを行ったら良いのか、フリーライダーが出てきたときに、どのようなアプローチを行ったら良いかなどを取り上げている。
第5章「個人として取るべき行動」
次は個人である。誰にでもフリーライダーになってしまう事を念頭に置きつつ、いかにして、フリーライダーにならないか、もし片足を突っ込んでしまったら、どのようにして脱したら良いかなどの処世も必要になってくる。その方法を本章にて取り上げている。
第6章「新たな課題」
フリーライダーにも新たな種類が存在していることを本章にて指摘している。もっともガンダムの「ニュータイプ」をなぞらえて取り上げられており、どのようなタイプがいるのかを列挙している。
「自分はフリーライダーにはならない」と思っているかもしれない。しかしいくつか取り上げてきた中で可能性は誰にでもあるのが「フリーライダー」である。自ら「もしかしたらなってしまうかもしれない」ことを認識し、その上で、いかにしてならないかを個人・組織と両方の観点から取り組んでいく必要がある。そのための本書である。
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