伝統芸能にも必ずといってもいいほど「始祖」が存在する。落語の世界でも江戸落語では鹿野武左衛門がおり、上方では初代露の五郎兵衛や本書の主人公である米沢彦八がいる。上方落語界の草分け的存在であり、いまとなっては上方の落語祭として「彦八まつり」と銘打っているほどである。
その彦八は「笑い」そのものを商売にすることを思い立ち、幾度の苦難・挫折を経験しながらも、日本における「笑い」の文化をつくった。その物語を紡いでいるのが本書である。軽口と言われ、秘密を簡単にひけらかすと思いきや、思い立ったお笑いを軽々と開き、笑いに変えると言う意味で「軽口男」と呼ばれている。
軽口男ならではの笑いへの情熱と礼儀正しさが兼ね備えており、今のお笑い芸人に喩えると明石家さんまがぴったりのように思えてならなかった。
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