人間の偏見 動物の言い分 動物の「イメージ」を科学する

動物に対するイメージは人それぞれにあるのだが、時にはその「イメージ」が「偏見」としてもたれることも少なからずある。「偏見」自体も個人にあるものもあれば、世間一般において存在するものも少なくない。

その偏見に対して動物たちはどのようなメッセージを送り、人間と動物たちのイメージはどう形作られているのかを科学的な見地で論証しているのが本書である。

第1章「たくさんある動物にまつわる言葉」
諺・四字熟語など様々な「たとえ」から動物が来るものがかなり多い。その言葉の中には実際に観たことを喩えに出しているものがある一方で、想像上のイメージからなしているものもある。もちろん動物の動向が分かった時には「死語」になって使われなくなったものもある。

第2章「動物へのイメージはどこからきたのか?」
そもそも動物にまつわるイメージはどのようにして醸成されたのか、パンダに対する人気と、ヘビに対する嫌悪感などを引き合いに出しながら取り上げている。

第3章「ペットとしての動物」
ここ最近では多種多様な生き物がペットとして扱われる。私の実家にもオカメインコを飼っているのだが、人の好き嫌いが激しい一方で、人間が食べるものを欲しがるクセがある。そう言う意味では人間くさいインコである。
実家のインコの話はここまでにしておき、ペットとして扱われるようになった動物たちはどのような存在になっているのか、品種や処理などの繊細な話も含めて取り上げられている。

第4章「家畜としての動物」
ウシ・ウマ・ブタ・ヒツジ・ヤギと様々な用途で家畜としている動物も少なくない。食用として扱われるだけでなく、ファッションの素材として使われる動物もある。ではその家畜はどのようにしてつくられていったのか、も併せて取り上げている。

第5章「代表的な野生動物」
野生動物は日本には沢山いるのだが、その中でもサルやカラス、地域によってはタヌキ、キツネ、シカなどが挙げられる。私自身の体験談として電車で移動する時によく目にするのは地方路線で「シカと衝突」「動物と衝突」といったことで遅れ・運転見合わせといったものを目にするのだが、それを見ていると今もなお日本には野生動物はあると言うことを実感してしまう。

第6章「利用される「野生」動物」
中には野生動物を捕まえて、ペットや家畜などにするなどの「利用」をするケースも見られる。なぜ捕らえようとするのか、そのことについて取り上げている。

第7章「動物観の変遷」
動物に対するイメージは常々変わっていく。人口の変化もあれば、実際に動物を見るケースもでき、なおかつ動物の動向に関する研究も行われるようになった。その影響もあってか、動物に対するイメージもあれば、接し方も変わっていった。

第8章「私たちは動物とどう向き合うか」
そもそも動物との接し方も変わっている。有名なケースとして15世紀の動物裁判、日本では江戸時代における「生類憐みの令」や仏教における牛肉を禁忌とするようなことが挙げられる。動物との接し方について歴史・宗教・政治の要素はあれど、向き合っていくことについては永遠の課題と言えよう。

人間にしても、動物に対する「偏見」は持っており、それは時代と共に代わっていくものもあれば、いつまで経っても変わらないものもある。

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