熱海温泉などの温泉街でも有名な静岡県熱海市は戦後温泉街として有名な存在だったのだが、年園と右肩下がりの様相を見せ、衰退の一途を長らく辿っていたのだが、そこからV字回復を成功させることができた。その要因と対策についてどのようなことを行ってきたのか、本書ではその方法を包み隠さず明かしている。
第1章「廃墟のようになった熱海」
かつては「日本一の温泉地」として栄え、神奈川と静岡の中間にありつつも、観光名所として有名だった。しかしながら60年代からだんだんと魅力が薄れていき、なおかつ観光に対して求められる志向も変わったことによる対応がしきれなくなったことも要因としてある。
第2章「民間からのまちづくりで熱海を再生しよう」
まちを復活することを考えると行政と言った「官」の立場から行うといったことがあったのだが、ここではあくまで「民」のたちばから熱海を再生させるためのアイデアやミッションを取り上げている。
第3章「まちづくりは「街のファンをつくること」から」
まちづくりのためにはその街のファンを増やすことにあるのだという。もっとも観光をするにしてもそれぞれの街の魅力に触れたことにより、観光客・地元民共々満足できることが必要であるのだが、当時の民にはそれがなかったという。
第4章「街を再生するリノベーションまちづくり」
家にも中古のものを、新築のようにするといういわゆる「リノベーション」があるのだが、街にもそれが通じるのだという。リノベーションをするにしても、どのようなことを行っていく必要があるのか、そのことを取り上げている。
第5章「一つのプロジェクトで変化は起き始める」
プロジェクトは状況によって変化をする。もちろんプロジェクトの進捗によって、新たな発見などもまた「変化」の起爆剤となり、再生への糧にもなる。本章では熱海の中心街にあたる「熱海銀座」の再生劇を取り上げている。
第6章「街のファンはビジネスからも生まれる」
「熱海に足りないものは何か?」を考える事によって足りない機能を見出し、事業に役立てることができるという。その中のモデルケースとして「ゲストハウス」がある。ゲストハウスがなぜ生まれたのか、そして生まれるまでのプロセスを取り上げている。
第7章「事業が次々と生まれ育つ環境をつくる」
もっとも街を再生するためには昔から住んでいる、あるいは商売をしている方々の理解も必要である。特に商店街の再生プロジェクトでは賛否両論の意見が相次いだのだが、実行に踏み切ったという。しかし実行してみると、反対を言っていた方々も効果を見出し、賛成に回る方が多くいたという。
第8章「ビジョンを描き「街」を変える」
まちづくりには「ビジョン」がどうしても必要になってくる。そのビジョンをどのようにして形成づけるか、そこには30代の方々のクリエイティブな考えや行動によって成り立っているという。
第9章「多様なプレイヤーがこれからの熱海をつくる」
民間でできることを民間で行い、さらには世代交代を繰り返しながら、多様なプレイヤーが生まれ、そして熱海を再生からの成長を築かせていく、その可能性を見出している。
実は熱海市は2006年に「財政危機宣言」を発表した。それから13年の月日は流れたのだが、民間でも再生劇を見せ、さらには市長をはじめとした市も過度の財政赤字からの復活を果たした。おそらく熱海市は官民ともども「再生」に向けて動いている。その中でも「民」でできることとその可能性見出したのが本書と言える。
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