ブラック奨学金

高校や大学などで学費が自分の力で払うことができず、奨学金にすがる方々も少なくない。かくいう私もその一人であり、ようやく完済した状況である。しかしながらその奨学金に関して、まさにかつてのサラ金やヤミ金の取り立てのような実態や受ける人の実態がありありと映し出したのが本書である。

第1章「奨学金返済の実態」
先に断っておくと奨学金には大きく分けて2種類ある。一つは「給付型」、もう一つが「貸与型」である。貸与にしても種類があり、「無利子型」と「有利子型」と言ったものがあり、とりわけ「貸与型」で「有利子型」の奨学金を受けた方々で返済に窮する人の実態がある。高校・大学問わずして、返済に困窮し、さらには奨学金が打ち切りになったケースまであるのだという。

第2章「苛酷な取り立ての実態」
学費が増え続け、なおかつ生活費の確保に苦しむこともあり、奨学金にすがる方々が増え続けている実態にあるという。しかも有利子型の奨学金にその傾向が強く、返済に困窮し、ヤミ金業者も顔負けの苛酷な取り立てを行っているという。

第3章「「延滞金地獄」のパターン分析」
また延滞金により、返済ができなくなるケースも数多く出てきているという。返済困難の要因として本人、あるいは家族が起因としてなっているケースもあるという。

第4章「世界に逆行する日本の教育費政策」
教育費政策は西洋などでは給付型の政策を中心に行うところが増えてきている。それに限らずとも、授業料等について低授業料化が進む中で、日本では授業料が高くなる傾向にあるという。

第5章「若者を奴隷化する日本の奨学金政策」
本書は「ブラック奨学金」と題しているのだが、実際そうさせているのは奨学金の機構であるのだが、「ブラック」の起因はそれだけはない。それは「ブラック企業」や「ブラックバイト」など給料を得るために働く業者たちが労働力を失わせ、なおかつ未来を奪わせるといったことにより、若者を奴隷化させるという。

第6章「「新しい奨学金」の利用法と注意点」
奨学金にも新しいタイプのものが次々と出てきて、新しい業者も出てきたほどである。しかしながら、それにも「落とし穴」があるという。

第7章「必読! 返せなくなったときの対処法」
貸与型の奨学金には返済が難しくなった際の「救済制度」があるのだという。その救済制度をどのようにして利用したら良いのか、その方法も伝授している。

奨学金制度はどのような形であり、どのように返済したら良いかは家族単位で理解する必要がある。子どもも考える必要があるのだが、学業を行う必要があり、なかなか難しい所があるため、保証人も含めて双方で理解して、なおかつ奨学金を受けることが最大の自己防衛策である。そのため借りる際にも、返す際にも本書はその防衛策の一つである。