ここ最近、「部活動」に関する議論を激しさを増している。とくに子どもだけでなく、教師の側から「働き方改革」における部活動時間の削減といった風潮も強くある。それだけでなく、体罰などの温床になり、極論から「部活動を廃止した方が良い」といった意見さえもある。
そこで考えておきたいのが「部活動とは何か?」である。原点を考えていく中で、本当の意味での「部活動」とは何かと、生徒も先生もWin-Winになるような部活動をつくるにはどうしたら良いのかを議論したのが本書である。
1章「部活解体新書―おとなが教えてくれない部活の本当の形」
「部活動」に対する考え方は人、もっというと学校それぞれである。加入を義務づけている学校もあれば、部活動そのものがない学校もある。学校の多くは部活動はあるものの「任意加入」であるため入っても、入らなくてもいいのである。生徒は任意加入で良いのだが、教師はどうなのかと言うと、学校によるのだが、多くは顧問がついてはじめて部活動となる。そこがおかしいと指摘する論者もいる。
2章「部活維新のススメ―部活の主役はあなたです」
もっとも部活動は強制的に行うものなのかと言うとそうではない。また部活動としての運営は誰がやるのかと言う議論もあるのだが、本来であれば部活動は「自主運営」が基本である。もっとも部活動そのものは生徒が自主的に取り組みながら、顧問でしかできないことは助けるといった役割を持っている。その意味では顧問は必要であるのだが、顧問メインで決めたり、指導したりするものではなく、あくまで生徒たち同士で運営していくことにある。しかしそれがなかなかできていない部活も少なくない。
3章「部活お悩み相談所―部活博士と金髪学者が答えます」
部活動はある種の「組織」である。その組織の中でどのようにして運営をしていくのか、部員同士の仲はどうしていくか、課題は山積している。時としては生徒同士、さらには生徒と顧問などの衝突も出てくる。抱えている悩み・質問について本章では「お悩み相談」の形式にて取り上げている。
4章「動き出した部活改革」
部活改革は運動・文化問わずに行われている。部活によっては全国に出ることを目標にする所もあれば、部活そのものを愉しむ、あるいは地域との交流を盛んに行うといったことがある。とくに「やり過ぎ」については防止しながら「適切に」行うことを主軸に改革を行っている事例を取り上げている。
私自身中学・高校と6年間吹奏楽部に所属した。中でも高校は演奏会やコンクールなどが数多く行われ、その度に朝から夜まで、さらには合宿まで行うこともザラにあった。しかしその活動は厳しかったというと厳しかったのだが、体験自体は今の自分そのものをつくったため、本当の意味でためになったと言える。とはいえど時代は絶えず変化している。白眼視にさらされる部活動は必要である一方で変わっていく時期に入ったのではないかと考えるのだが、どのように「変える」のか、その参考資料となる一冊が本書と言える。
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