文字や詩といった言葉には文化がある。その文化には歌もあれば、小説・マンガといった物語などが紡がれることがあり、日本語もその例外ではない。もっと言うと前々から書いたのだが、日本語にはひらがな・カタカナ・漢字と使い分けられ、細やかな表現をつくる事ができる。そのため日本語としての文化はどのように形成づけられていったのか、本書は日本語における「詩」を基軸に取り上げている。
第1章「ポピュラーカルチャーの詩学」
日本語の表現も変わってきている。もっと言うと変化を司るものとしてJ-POPはもちろんのこと、小説やメディアなどで作られることが大いにあるという。その変化を守りながら管理するといった役割をNHKが担っていることも本章にて取り上げている。
第2章「複数の文字体系を持つ日本語」
冒頭でも述べたように文字体系が複数にある日本語は繊細な表現を叶えることができる。ひらがなの概念が生まれた仮名文学にてはじめて取り上げたものとして「竹取物語」がある。なぜ仮名文学が生まれたのか、複数の文字体系からどのような文学や文化が生まれたのかを考察している。
第3章「文字のマルチモダリティ」
「モダリティ」とは、
「1.文によって表された事態に対する話し手の判断や認識。また,それを表す文法的範疇。
2.外交などでの手続き。また貿易交渉などで,各国に共通に適用される取り決め。」(「大辞林 第三版」より)
とある。特に1.が本章にあたる。その「事態」について日本語は様々な用途があるため「マルチモダリティ」と定義づけられている。
第4章「ルビ表現の詩学」
漢字の表現の中には「ルビ」と言ったふりがなの文化もある。ルビ遣いは小説や歌の歌詞にも使われることがある。もっとも漢字についても幅広いのだが、その幅広い表現を補足する役割を持っている。
第5章「ストーリー・マンガの詩学」
小説などのストーリーやマンガには日本語としての表現をさらに延長づける。その「延長」となるのは第4章のルビもあれば、オノマトペを駆使した効果音を文字化する、他にも物語独自の用語などもまた表現の幅を広げている。
第6章「ポピュラーソングの文字」
本章で言うところの「ポピュラーソング」は簡単に言うとJ-POPである。ここ最近のJ-POPの歌詞も特徴的であり、日本語・英語・カタカナ、さらにはルビをはじめ、和製英語などマンガ以上に多岐にわたっている。その文字はJ-POP独自の表現をもたらし、ファンを作っていると分析している。
第7章「マルチモーダル・コミュニケーション能力と言語教育」
そもそも日本語における「国語教育」はどうあるべきか、英語やカタカナといったことを排外するといった論者もいるのだが、日本語そのものは変化をする。変化の在り方も含めて本来の日本語はどうあるべきかも含めて論じている。
日本語としての変化には必ず「流行」が存在する。それは日本語に限らずとも言語には流行と言った変化があり、それがポピュラーカルチャーとして成り立つ。その証明を本書でもってなし得ている。
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