ショパン・コンクール – 最高峰の舞台を読み解く

ピアノの音楽コンクールの最高峰である「ショパン・コンクール」、舞台はポーランドで行われ5年に一度行われる。ピアノコンクールではあまりにも有名で後にアニメ化されたマンガ「ピアノの森」の舞台にもなったほどである。次回行われるのは2020年であるのだが、本書は最近行われた2015年のことであるのだが、その舞台は私たちの想像を遥かに超えるものだった。

第一章「2015年の予備予選」
もっともショパン・コンクールに出場するためにはこの予備予選を通過しなければならない。実際にはDVDの撮影したものやプロフィールなどが審査されるのだが、その審査はかなり厳しいとして湯名であり、日本人もここで涙を呑む人も数多くいるという。

第二章「ショパン・コンクールの歴史」
ショパン・コンクールが生まれたのは1927年のことである。第一次世界大戦が終焉し、ポーランドの国家として独立してからその構想が出てきて、結実した。もっともピアノの上手さよりもショパンの曲の解釈の度合いに傾いており、曲目も全てショパン作曲の曲で占められる。

第三章「第一次予選(2015年本大会)」
元々そのショパンの解釈はある「対立」があった。それは「楽譜に忠実」か「ロマンティックな解釈」を行う2つの対立である。この対立はショパン・コンクールが開催された時からあり、かつ現在も続いているほどである。解釈の対立はショパン・コンクールの演奏にも如実に出てきており、審査員、ピアニストそれぞれに影響を及ぼしている。予備予選を通過、あるいは免除をされたピアニストたちが一同に会して演奏する舞台が第一次予選から始まる。演奏するピアノの選定はもちろん曲選も神経をとがらせる。

第四章「第二次・第三次予選(2015年本大会)」
一次予選を通過し第二次・第三次と予選が続くのだが、それぞれの予選で求められる課題曲も変わってくる。もっともショパンの解釈にフォーカスを当てているだけに、様々な角度の曲が課題曲として提示され、演奏者はその中から選ぶと言うものである。解釈、音楽性、演奏の正確さなど多く求められ、なおかつ演奏時間も長いため演奏者の集中力も切らさないために細心の注意を払っている。

第五章「グランド・ファイナル(2015年本大会)」
厳しい予選を勝ち抜いた人たちが優勝となる第1位をかけて挑む舞台である。2015年の大会でのファイナリストは10人であり、日本人でも小林愛実が進出した。このグランド・ファイナルⅡ限りワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団とともに「ピアノ協奏曲」を演奏するものであり、演奏者はその中から第一番か第二番のどちらかを選び、演奏するというものである。ファイナルは2日間に分けて行われ、2日目の深夜に結果発表が行われる。

第六章「指導者たちのコンクール」
ピアニストたちにとってショパン・コンクールが特別な舞台であれば、指導者も然りである。歴史と格式が相まっており、指導者にとっても箔をつけるという意味合いももたれる。しかしながら実際に大舞台を踏む教え子たちを見て指導者はどのような心境だったのか、そのことも本章にて取り上げている。

第七章「コンクールの相対性」
「コンクール」だけあり、演奏的な観点から競われることにあるのだが、そもそもコンクールにはそれぞれの性格があれど、ある種の「相対性」がある。とくに順位が競われるなかでは必ず起こりうるものであり、議論の的にもなる。

冒頭にも述べたように次回のショパン・コンクールは2020年に行われる、回を重ねるごとに変化を起こしているコンクールであるだけに、次回のコンクールではどのようなピアニストが誕生するか見てみたいものである。

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