本書のタイトルを見ると様々な側面を思い浮かべる、戦争などのまさに生きるか死ぬかの「生き残り」をかけた戦いもあれば、社会的な競争において勝ち負けといった「生き残り」もある。本書はその中でも前者の意味を持っている。
本書の舞台はおそらく大東亜戦争にあたるのかもしれないが、その中でも北ビルマ(現在のミャンマー北部)において米中の連合軍との戦いで苦戦を強いられている中で生き残るために戦う姿を描いている。主人公だけでなく、周囲の兵士たちは次々と死んでいく中で、一人でも多く生き残り、戦うためにどうするべきかの葛藤や感情、さらには戦争という極限の混沌状態で出てくる弱さ、悲しさ、怒り、優しさなどの感情が入り交じりながら、生きていく姿が印象に残る。
ミステリーの類いに入るかもしれないのだが、事件と言うよりも戦争でどのように生き残るのかの思考を張り巡らすと言った点で「ミステリー」と定義づけられているのかもしれない。
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