はじめての批評 ──勇気を出して主張するための文章術

今まさに当ブログでは本の批評を行っている。もうかれこれ12年行っているのだが、批評をすることの難しさと面白さの両方を味わいながら、今日もまた行っている所存であり、なおかつ新たな発見を見出している。

ブログに限らず、SNSなど批評をするツールが数多くある。その批評もまた一つの芸であり、私自身一生磨き上げたいと考えている。そんな私でも批評とは何か分からなくなる時があり、もっと言うと批評そのものをしたことがない方々だとどうやれば良いのか分からない。そこで本書である。本書はそもそも「批評」とはいったい何か、そしてどのように批評を書いたら良いか、その後はどうするのかを初心者向けに伝授した一冊である。

第一章「批評の意味」
そもそも「批評」とは、

「物事の善悪・美醜・是非などについて評価し論ずること」「広辞苑 第七版」より)

とあり、決してこき下ろすなどの悪い意味で切って捨てるだけの手段ではない。本にしても、物事にしても良い部分と悪い部分があり、それぞれの点を伝えることである。もっともどのように「伝える」ことが大切であり、作品の良し悪しか、それとも魅力なのか、伝える観点と目的をしっかりしておく必要がある。

第二章「批評の準備」
知らないもの・ことを頭ごなしに批評をすることこそ失礼なものはない(自分自身もそういうことを何度も行っているので反省する必要がある)。批評を行って行くに際しての「前提」として作品を見る前に歴史やルーツなどをある程度調べて「知る」ことが大切になる。

第三章「批評を書く」
下調べなどが終わったらいよいよ批評を始める。その批評をどのようにして「書く」か「伝える」かはそれぞれの自由であるが、相手にどのようにして「伝える」かは念頭に置く必要がある。自分自身で「書く」ものであるが、書いた後に読者に伝える訳であるから、どのように「書く」のかも考えておく必要がある。

第四章「批評を練る」
よりよく「伝える」ためには「練る」ことが必要になる。なぜ「練る」のかというと、文章を書いていくとどうしても冗長的になってしまう、あるいは表現にしても「面白い」「つまらない」といった抽象的な表現を持ってしまう。端的に、かつ具体的に伝えるためには推敲などの「練る」ことで自分自身の「伝えたいこと」を明確にする。

第五章「批評を貫く」
もっとも文章は「書き続ける」こと、そして「名文を学ぶ」ことが道筋としてある。名文を学び、取り入れ、批評を繰り返していく。私自身もその繰り返しを行っているのだが、まだまだ道半ばである。

もっとも私自身「批評」は賞賛・批判というよりも、「これを見て自分はどう思ったのか?」と言うことを反芻するための手段であり、なおかつ自分自身の読んで気づいたことの足跡を記すための手段でもある。今日まで書評を行っているものも「読書」と言う名の旅を記録していくためのものであり、その中に「批評」がある。冒頭でも書いたとおり批評もまた「技芸」の一つであるため、私自身は一生かけて磨き上げていきたい。そのことをまた再認識した一冊であった。