さらば! 検索サイト―太田昌国のぐるっと世界案内

社会や歴史をはじめありとあらゆることのほとんどは検索サイトでまかなうことができるようになったと言える。しかしながら検索サイトも一つのメディアであり、なおかつ取り上げている当ブログもまたメディアである。メディアに流されることはよろしくなく、「思考停止」に陥ることにもつながる。そのメディアに対して「疑い」を常にかけて、自分自身の解釈を持つことがある種の「リテラシー」と言える。

また検索サイトをはじめとしたインターネットだけを頼りにすることもまたよろしくない。自分自身が実際に赴き体験をしたこと、見聞きしたことは検索サイトに乗ることができない。本書は自ら取材を通して得たこと、疑問に思っている、批判などを取り上げている。

第一章「現在を渉猟する」
世界は日々刻々と変化する。その長い変化の中で何が変わり、なおかつ今ある出来事についての背景はどうであるのか、今ある出来事を元にして、過去に取材でのエピソードも交えながら考察を行っている。

第二章「歴史を掘り下げる」
歴史についての話は今もなお解釈で割れるケースが多数存在する。もっとも解釈にしても、政治思想における「保革」や「右左」などがある。本書は左の観点からの解釈を取り上げている。

第三章「芸術から社会を語る」
芸術にも「政治思想」がつきまとうことがある。先日まであいちトリエンナーレで行われていた「表現の不自由展」もまたその一つなのだろう。もっとも政治思想を反映している所は民間でも存在しているのだが、本章では天皇制や死刑囚、戦争にまつわることを批評している。

ちなみにであるが、本書で取り上げられているところの多くは雑誌や自身のコラムサイトにてかかれていたことを現在の状況に編纂して取り上げているものがほとんどである。その多くは「左」と言えるような内容であったため、相容れられないものがほとんどであったのだが、一つだけ通じているのは安易にインターネットを頼りにするのではなく、多くの情報にふれながらも「疑う」ことを持つことが大切である。一つの情報に流されることは思考停止につながる。いったん検索からはずれて本などで調べてみることも一つの手段である。