物を売るバカ2 感情を揺さぶる7つの売り方

簡単にモノが売れない時代である。その時代だからでこそどのように「売る」のかを考える必要がある。本書の著者は「物語」を主軸にした著書を多く出しており、販売やマーケティングについて「物語」で販売している方々を取り上げている。ちなみに「2」と銘打っている通り第2弾であり、もともと第1弾は2014年に上梓された。本書もまた物語で心を揺さぶったり、多く売れたりする方々を取り上げている。

第1章「なぜ普通のタクシーがマークひとつでお客さんの心を揺さぶるのか?」
ここ最近では販売の世界ではCS(Customer Satisfaction・顧客満足)からCX(Customer eXperience・顧客体験)と呼ばれることが往々にしてある。その背景としてはインターネットなどによっての顧客接点の増加によることが原因としてある。他にも非日常の空気や体験を得られる場なども出てきており、重要視される一因としてある。「体験」を売ることは買い物にしても、教室にしても、さらにはタクシーに乗ることにしても工夫によって得られる。

第2章「廃棄直前! 1万3000個のキャベツを2週間で売り切った大逆転の売り方とは?」
「体験」は時として「心を動かす」ことにもなる。その心を動かすような体験とはいったいどのようなものなのか、本章では廃棄寸前のキャベツを「ある体験」によって売り切った方法がある。その方法もまた「体験」としてある。

第3章「尾道の海運倉庫が、新潟のボロボロ市場が大人気の観光スポットになった理由」
物語のなかには「世界観」がある。それは廃れたり、どこにでもあったりするような場所を世界観を持たせることによって、価値を見出し、人気や話題をつくる事ができるようになる。海運倉庫でも市場でも、空き家でも、世界観をつくることで価値をつくる事ができるようになる。

第4章「三重の自動車教習所の卒業式ではなぜ生徒たちが涙を流すのか?」
体験は他人と一緒につくる「共創」や「協創」といった協力などを行うことで、感動を呼び起こすと言ったことがあるという。もっとも自動車教習所のエピソードもまたその「共創」などにより感動を得ることができるという。

第5章「静岡のローカル鉄道に夜だけ人が集まる理由とは?」
ここ最近「インスタ映え」なるものが出ている。キレイに映る、あるいは印象的に映って投稿することによって話題を呼ぶというものであるのだが、やり過ぎてしまうと「インスタ蠅」のようになり煙たがられる対象になるため注意をした方が良い。
とはいえど、インスタ映えするようなスポット・商品はあるにはあるのだが、新しいものでなくても今あるものでできるモノを見つけることによって、インスタ映えを見出し、売り出すことができる。

第6章「千葉の暴走族・鉈出殺殺元総長がつくる野菜はなぜ最凶に売れるのか?」
「ここでしか買えない」「ここでしか味わえない」「ここでしか体験できない」など「ここでしか~」という「オンリーワン」の要素は希少価値となり、人気を生み出すことができるという。

第7章「レコード会社が山梨のサービスエリアでユーミンのアルバムを売ったわけ」
ユーミンのアルバムは今もなお人気があるのだが、本章ではある曲を連想する。

この曲は今から43年も前の曲であるため、本書のキーワードである「懐かしさ」がある。その「懐かしさ」は中高年層には大きな価値となる。

本書で取り上げているものは「モノ」そのものなく、感情を揺さぶるような要素を売るところにフォーカスを当てている。簡単に売れない時代だからでこそ、売る要素を変えていくことによって、売る(提供する)側にとっても、買う(体験する)側にとっても大きな「価値」を見出すことができる。そのことを本書にて気づみくことができる。