この地獄を生きるのだ うつ病、生活保護。死ねなかった私が「再生」するまで。

著者は本当の意味での「地獄」を味わった人なのかもしれない。それ程の不幸を味わいながら、立ち直り、活躍をしているのだが、病と今もなお闘っている状況であり、体験記を今もなお綴り続けている。その病が発病してから闘いはじめ、そして闘い続けている最中を綴っているのが本書である。

第1章「精神障害、生活保護、自殺未遂」
短大を卒業し、雑誌の編集者として社会人生活を始めたときから大きなつまずきを起こしてしまった。自殺未遂である。意識不明からなんとか生還するも、今度は医師から「精神病院に行った方が良い」と言われ、精神病院に入院することとなった。このときに初めて自分が「精神障害者」であることが分かったという。

第2章「ケースワーカーとの不和」
精神障害者とされながらも社会復帰を目指すも、なかなかできずにいた。アルバイトの面接を受けても落とされ、働くことでさえもままならない状況だった。その時に社会復帰するためにデイケアに通っていたのだが、そこでの不和も起こしてしまった。そこから立ち直るまでの日々を綴っている。

第3章「「お菓子屋さん」とクリニックのビジネス」
デイケアのなかで社会復帰をするためのことを行うと書いたのだが、その中でも具体的にどのようなことをやってきたのかを本章と次章と連続して取り上げている。本章では菓子屋と病院を取り上げており、それぞれの仕事で得てきたことを綴っている。

第4章「漫画の単行本をつくる仕事」
社会復帰をするために進めていったのだが、またも自殺未遂を起こしてしまい、ついにデイケアから出入り禁止を受けてしまった。その後クリニック通いをしながら一人暮らしをする日々。その日々のなかで単行本を作る仕事をNPO法人から受けるようになったエピソードを取り上げている。

第5章「普通に働き、普通に生きる」
そのことが縁になり、非正規ではあるのだが、働くことができるようになった。そこから逆転の人生が始まったと言っても過言ではない。生活保護を受けている傍らで食い扶持ができるようになったのである。

第6章「ケースワーカーに談判、そして」
収入もだいぶ落ち着いてきたことにより、いよいよ生活保護から脱却をすることとなった。その生活保護にあたってのエピソードは私たちの知らないなかでの「苦しみ」がありありと伝わっており、そこから脱出できたことの歓びは格別であったという。

第7章「人生にイエスと叫べ!」
NPO法人・単行本の編集など様々な仕事を行うようになり、本当の意味で社会人としての生活に戻ったと言っても過言ではないほどの生活を送るようになった。精神的な疾患はまだ残っているものの社会で働ける歓びをかみしめながら今日もまた日常を送る。

昨今は「生きづらい社会」であるのだが、その生きづらい社会から精神的な障害を抱え、脱し、社会人として働けるようになるまでの日々は本書のタイトルの如く、私では想像し得ないような「地獄」であったことを証明づけるに十分と言える。しかしその「地獄」から脱して「天国」とまでは行かなくても「日常」を取り戻すことができた人の姿が本書にあった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました