2020年に東京オリンピック・パラリンピックが行われる。あと1年を切り、来年はいよいよオリンピックムード本番と行ったところである。しかしながらそれに向けての波乱が続々と出てきているのも事実としてある。
本書は世界最大のスポーツイベントであるオリンピックはどのような体制で行われ、どのような歴史を教訓にして変化していったのかについて紐解いている。
第1章「進化するオリンピックの大会」
オリンピックは常に歴史にさらされた。オリンピック中止も第一次・第二次世界大戦にて起こっており(そのうち1940年にて開催されるはずだった東京オリンピックも含まれている)。当初のオリンピックは夏季のみであったのだが、1924年に「シャモニー・モンブランオリンピック」が冬季オリンピックとして最初に行われた。その後は2010年代になるとユースオリンピックも開催されるようになった。
第2章「日本とオリンピック」
日本人がオリンピックに参加したのは1912年のストックホルムオリンピックからである。そこから日本人選手が参加するようになり、1940年には東京では夏季の、札幌では冬季のオリンピックが開催される運びになろうとしたが、第二次世界大戦と日中戦争の余波によりいずれも中止になった。
第3章「国際オリンピック委員会」
ここ最近では東京オリンピックのマラソン・競歩の競技が東京から札幌に移るとのことでIOC(国際オリンピック委員会)がメディアで注目されるようになったのだが、そもそもIOCとはどのような組織なのかを知る必要がある。本章ではIOCの組織と歴史について取り上げている。
第4章「変化するオリンピック体制ー小さな組織から巨大ビジネス組織へ」
オリンピックの体制は常々変わってきている。しかしその変化は多かれ少なかれありながらもその変化の度合いは大きい。開催当初は小さな組織だったのだが、後に公式スポンサーができあがり、増加することにより、政府やスポンサーも含めた複雑な体制になっていった。
第5章「スポーツとガバナンス」
スポーツにもそれぞれの「組織」がある。もちろんそのスポーツにおける組織は国内・国際といったものに分岐しており、なおかつ組織図のようになっている。組織内外における統治(ガバナンス)をどうしていくべきかをの現状と課題を取り上げている。
第6章「オリンピックの収入とコスト」
オリンピックへの協賛を行う企業も後を絶たない。他にもオリンピックを行うための協議やセキュリティ、さらには人件費などのコストや開催にて得られる収入をいかにして分配していくかもまた課題となっている。
第7章「オリンピックのインパクト」
オリンピックが開催されることのインパクトは計り知れないものである。国によっては「オリンピック景気」となり、経済的に急成長する起爆剤にもなる。他にも国に対する認知度を引き上げるためのアピールなど観光政策にも役立てられる。
第8章「2020年東京大会は何を残すのか?」
来年ついに2度目の東京オリンピックが開催される。今回のオリンピック開催にあたり、どのようなものを残し、そしてどのようなものを変えていくべきか、東京開催とそれ以降のことについても取り上げている。
第9章「正当化できる投資」
オリンピックに関しての投資は果たして「正当」なのかという命題についてはそれぞれのオリンピック以降で考える必要があるのだが、現時点で正解自体がないような気がしてならない。というのは経済的なメリットもあれば、組織が複雑化したことについての闇もあるためである。
来年東京オリンピックが開催される。それまで無事に開催されるかの不安はつきものであるのだが、とにもかくにも日本に再びオリンピックの祭典がやってくるだけあり、ムードは高まってきているのは事実としてある。その前にオリンピックとは何かの原点を知る必要があるのだが、本書はその「原点」を知るきっかけとなる。
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