水槽の中

「水槽」という言葉が何とも言えない感覚に陥る。本書の話は高校生4人が織りなす物語であるのだが、その物語は複雑に入り交じって、息の仕方が分からないほどの苦しさがあり、なおかつ狭い世界のなかで入り交じることによって「水槽」と見立てられるようなことも考えられる。

高校生は思春期の先の「青年期」にあるのだが、まだまだ悩み多き時期であり、なおかつ高校と家族などのなかでの人間関係を織りなす様なことが多くある。また高校生によっては一つのことに一生懸命となり、全てのエネルギーを注ぎ込むことも往々にしてある。さらにその「一つのこと」のなかには部活もあり「恋」もある。本書はその両方を担っているような気がしてならなかった。

青春の甘酸っぱさもあれば、水槽の中で水に潜るような息苦しさもある一冊であった。

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