当ブログは「蔵前トラック」であるのだが、自己紹介でも書いたのだが、元々は落語の演目であるが、もっともとを正せば、東京の「蔵前」に因んでいる。実際に蔵前は東京都台東区に存在しており、江戸時代には「浅草御蔵」という米の蔵が集中してつくられたことにある。
もっとも蔵前のみならず東京には様々な「蔵」が存在すると言う.本書はその中でも中心部にある山手線圏内の蔵を紹介している。
1章「都心の蔵の特徴と魅力」
著者は「蔵見ニスト」と名乗った理由もあれば、著者自身が「蔵」に魅せられた理由について、他にもそもそも「蔵」とは何か、また江戸は冒頭の浅草御蔵のみならず、ありとあらゆる所に蔵があったかなどの理由も言及している。
そもそも蔵に魅せられたのも、著者自身が蔵に住んでいたこと、そしてその蔵の構造に魅入られたこと、そしてその蔵が消えゆくことに危機感を覚えたことにあるという。もっとも蔵の構造に魅せられ、他にもある蔵を探し、本書のように紹介できるのだから、奥が深く、なおかつまだ知らない「蔵」の可能性を見出し、究められる。
2章「蔵を訪ねる1 谷根千エリア」
根津・千駄木・谷中の3つのエリアを紹介しているが、なかには明治・大正時代につくられた蔵で、博物館や飲食店などに使われているという。蔵というと木でつくられたものをイメージするのだが、レンガで作られたものがあり、東京大空襲にも耐えたものまである。
3章「蔵を訪ねる2 上野・浅草・下町エリア」
上野・浅草となると、東京の「下町」と呼ばれ、昔ながらの江戸・東京溢れる場所で有名である。他にも本章では駒込や本郷などがあり、特に駒込などでは正岡子規や森鴎外などの文豪ゆかりの蔵まで存在する。
4章「蔵を訪ねる3 中央線以南エリア」
中央線より南となると、神保町や三田、芝など山手線のなかでも特に都市部にあたるような場所のイメージが強い。しかしその中にも貴重な蔵があり、飲食店や老舗の会社、さらには海外の大使館として使われているのだという。
5章「蔵を訪ねる4 山の手エリア」
山の手というと、江戸ならではだけでなく、東京ならではの史跡や神社、さらには美術館などが蔵から使われるという。
6章「あなたも蔵見ニストに!」
著者自身も行っているなかでも蔵をどのように探したら良いかを紹介している。インターネットを使う方法、移動手段、さらには著者自身が移動して見つけた蔵を余すところなく取り上げている。
もっとも私自身も蔵はいくつか見かけたことはあるものの、本書を通じて、東京にも数多くの蔵があることを知ることができた。もちろん東京だけでなく、周辺地域にも蔵があるとしたら、廃れていくと言われているなかで、まだまだ「蔵」の可能性を見出してくれる一冊であった。
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