京大的アホがなぜ必要か カオスな世界の生存戦略

「アホ(阿呆)」という言葉の捉え方は地域によって異なる。関東では侮蔑的に捉えられるのだが、関西では言葉尻などによって異なり、言い方などによっては肯定的に使われることさえもあるという(もちろん時と場合によって関東と同じく侮蔑的に捉えられることもある)。

ちなみに本書で言うところの「アホ」はいい意味の「変態」を表しており、京大が生き残るための改革として「アホ」を生み出すことが必要であることを提言している。

第一章「予測不能な「カオス」とは何か」
かくいう著者は京大で地球流体力学を専門としている教授であるのだが、そのほかに「京大変人講座」という一風(どころかかなり)変わった講義を行っている。しかもこの講座においてのキャッチフレーズとして「京大では『変人』がホメ言葉です」とある。科学者でありながら、なぜ変人講座を拓いたのか、そこには「カオス」がカギになるのだという。

第二章「カオスな世界の生存戦略と自然界の秩序」
そもそもカオスと言っても、講座そのものもカオスであるのだが、著者の専門としている力学のなかには「カオス理論」がある。それは何かというと、

「カオスについての研究。生命現象や社会現象への応用が注目されている」「大辞林 第三版」より)

とある。これでは分からないため、もう少し調べてみると、

「力学系の一部に見られる、数的誤差により予測できないとされている複雑な様子を示す現象を扱う理論である」Wikipediaより)

とある。「予測できない」と言うところがキーポイントであり、予測できない世界だからでこそ、生存戦略を持つ、あるいは自然界としてはどのような「カオス」があるのか、本章では専門としている力学における「カオス理論」とともに取り上げている。

第三章「イノベーションは「ガラクタ」から生まれる」
よくビジネス書では「イノベーション」と言うものがある。大学などの組織体においても、同じような言葉が出てきており、方法も取り上げているのだが、なかなかイメージとして捉えられにくい部分がある。そのイノベーションはどうやって生み出したら良いのか、著者は「ガラクタ」に着目をしている。

第四章「間違いだらけの大学改革」
大学改革と言った言葉をよく目にしたり、耳にしたりする。もっとも書評でも「大学改革」に関する本はいくつか取り上げているのだが、実際にそれがうまく言っているのかどうかと言うのは定かではない。もっともうまく言っていることを取り上げているニュースを見たことがないほどである。著者はその大学改革の要として「アホ」を生み出し「マジメ」と戦うことで生み出されることを提言している。

本書を通じて「京大変人講座」に興味を持ったのだが、探してみたところ京都大学の公式チャンネルにて公開されている講座を偶然見つけた。講義形式でありながらまさに一風変わった講義であった。科学的というよりもむしろ哲学的な印象が強かった。しかし「アホ」とはいったいどのような存在なのか、その謎がむしろ深まった一冊であった。

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