本書は宗教観の一冊であるのだが、西洋と日本というと、文化も異なれど、宗教のあり方についても、大きく異なる。西洋ではキリスト教が中心である一方で、最近では「無神論」も出てきている。一方で日本は仏教や神道が中心となり、特に神道では「八百万の神」がいるといった多神教が中心となる。ただ、日本は宗教を宗教として扱うよりも、文化や自然として扱っており、宗教と扱っていない。そのためか「無宗教」と答える人も少なくない。
同じように見えるのだが、異なる「無神論」と「無宗教」の2つの要素とはいったいどこにあるのか、本書はそのことを論じている。
第1章「無神論―世界の新たなトレンド?」
西洋というと、キリスト教の宗教色が強いイメージを持たれるのだが、ここ最近では「神はいない」といった無神論が出てきており、急速に広まっている。そのきっかけとなったのが、少し古い話だが2003年に出版された推理小説「ダ・ヴィンチ・コード」である。キリスト教などを題材にしているのだが、その内容に世界的規模で賛否両論があったほどである。他にもそもそも宗教そのものが世俗化していることも一因としてある。
第2章「盛り上がる無神論ツイッター」
この無神論について広がりを見せている要因の一つとしてツイッター(Twitter)などのSNSツールによって拡散され、盛り上がっていることがある。なかには聖書好きであるのだが、キリスト教徒ではないといった人もいれば、「聖書男」のごとくキリスト教徒という記載はないのだが、聖書(新旧問わず)を愚直に実践するという人もいる。
第3章「無神論と無宗教を理解するための宗教史」
ではなぜ無神論や無宗教が出てきたのか、そもそもの宗教の歴史を見ていく必要がある。その宗教の歴史はどのような道を辿っていったのか、ユダヤ教からキリスト教、イスラム、仏教などの主要な宗教の誕生をもとに取り上げている。
第4章「無神論のロジック」
そもそも「無神論」はなぜできたのか、そもそも「無神論」であることの根拠とは何か、本章では哲学・化学療法の観点から取り上げている。
第5章「西洋人の無神論、日本人の無宗教」
4章までの考察を経て、では「無神論」と「無宗教」の違いとはいったい何なのかという論題の核心に入ってくる。その2つの要素の違いと共通点とは何かを取り上げている。
そもそも「宗教」が広がりを見せる点としては「貧(貧困)」「病(病気)」「争(戦争)」の3つの要素のどちらかが色濃く出てくるところにある。第二次世界大戦以降は小さな戦争はあれど、概ね平和となっている今の世の中ではなかなか宗教が浸透することが難しいなかで、西洋では「無神論」が、日本では「無宗教」が広がっているのもある意味自然なのかもしれない。
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