本書の表紙を見るにあたり、タイトル・装丁を見てもおどろおどろしさ満載であり、なおかつミステリーと言えるような作品のイメージがした。実際に本書の内容はその表紙のおどろおどろしさを裏切ることはなかった。
しかも本書のタイトルにも物語の核心に近いようなものがあり、なおかつ登場人物たちの感情があたかも「黒い川」と言う言葉に相応しいほどだった。ある2つの家族を殺した犯人が拘置所で自殺を遂げたのだが、その裏にはとんでもないほどの「憎悪」が隠されていた。その遺族たちが調べていく内に、その憎悪がまるでせき止められていた黒い「水」となり、それがやがてせき止めがゆっくりと破れ、川となって緩やかに流れていくさまが見て取れる。
まさにミステリーと言えるような一冊であり、その謎を解き明かしていくうちに人間としての闇や悪といったものが見えているようでいてならなかった。
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