クモの糸でバイオリン

見るからに、ものすごくチャレンジングなタイトルである。もっともクモの糸というと、クモの巣を築いていく上での固い糸もあれば、餌を捕まえるためのねばねばとした糸などがある。大方前者の糸が該当するイメージだが、どのようにしてバイオリンを作ったのか、そして蜘蛛の糸をどのような構造なのかも絡めて取り上げている。

1.「クモのことをもっと知りたい」

クモにもいろいろな種類がある。さらにいうとそのクモが織りなす糸にもまた種類がある。そのクモはどのようにして糸を引くのか、それだけでなく、3.以降で作るための糸の採取についても取り上げている。

2.「クモが繰り出す魔法の糸」

クモの糸は剛性があり、なおかつ不思議な構造であるという。その糸を使ってぶら下がるハンモックを作ると行った実験も行われたという。人が乗ると切れてしまうように思えるのだが、先述の通り剛性があることから意外な結果となったという。

3.「バイオリンに挑戦!」

もっともクモの糸でバイオリンを作るといっても、クモの糸で作るのはバイオリンの「弦」である。それ以外のものはすでに作られているものを使う。もっともバイオリンの弦は細いスチール製であり、なおかつバイオリンの弦は音の異なる4本の弦でつくられる。その弦をいかにしてつくるのかの試行錯誤を記録している。

4.「魔法の糸の音色の秘密」

ちなみに本書はクモの糸でバイオリンを作る中で、論文を作成している課程を取り上げている。しかもその論文は著者自身専門外の音楽分野の論文なのだという(ちなみに著者の専門は「生体高分子学」)。ある種、他流試合に参加したともいうべきなのだろうか。

5.「音色が世界を駆けめぐる」

本章では学会発表を取り上げているが、ここの発表は著者のホームグラウンドの生体高分子学である。その発表でも実際にクモの糸でつくったバイオリンを用意し演奏したという。

実際に聞いてみると、私自身もクラシックを聴いたり、一時期演奏したりしたが、よくあるバイオリンとは全く異なる音色をしていた。ユニークな研究であるのだが、実際にクモの糸はこれからの繊維として着目されているだけあり、その役割の一つを示しているのかもしれない。

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