あなたは、なぜ、つながれないのか―ラポールと身体知

人とのコミュニケーションが苦手な人は少なくない。かくいう私もその一人である。もっとも私自身どのようにコミュニケーションをしたら良いのか分からない人である。原因は様々であるのだが、そのコミュニケーションがうまく行かないことから「生きにくさ」と言うものを感じることさえもある。本書ではその生きにくさを脱するためにコミュニケーションとは何か、それを通じて他人と深く理解しあうためにはどうしたら良いかを伝授している。

第1章「ありふれた日常には特別な発見がある」
ありふれた日常のなかで言葉のやりとりは全くないことも中にはあるのだが、たいがいは少なくとも1回以上やりとりを行うこともある。その日常の中で言葉のやりとり、それは会話もあればメール、さらにはSNSやブログといったものもある。ツールの分だけパターンはあるのだが、そのパターンが壊れることは往々にしてある。そこからコミュニケーションはスタートするのだという。

第2章「僕はコミュニケーションが苦手だった」
冒頭でも述べたように著者と同じように私もコミュニケーションが苦手である。しかし著者は「苦手だった」のだが、いかにして脱したのか、そのことについて取り上げている。

第3章「コミュニケーションを見直すいくつかの方法について」
コミュニケーションは最初からうまく行くわけではない。もっとも誰しも最初は素人である。そこからどのように上手くなるのか、パターンづくられたものをいったん崩し、そこから新しいパターンを作る、あるいは自分自身はどのような傾向にあるのか、いわゆる「傾向と対策」を行う必要がある。

第4章「同調が分かるとコミュニケーションが変わる」
同調というと、行動や仕草、さらには習慣まで全て同じにする必要があるため、嫌いである。もっとも日本人は協調を重んじるとあるのだが、実際は「同調を強制する」といった空気が充満している。
しかし本章ではコミュニケーションを変えるためには他人とを同調しながら、コミュニケーションを行うきっかけを作ったり、やりとりが続けられるようなヒントを見つける、あるいは自分自身のコミュニケーションの在り方を見直すといった効果でもって同調のトレーニングを伝授している。

第5章「自分自身で変化を生み出すシステム」
そもそもコミュニケーションを変化していくのはあくまで「自分自身」である。その自分自身の変化を行うためには、いかにして変化のシステムを形成づけていくかが大事になってくる。そのための方法を本章にて伝授している。

第6章「トランスを「生きるための技術」として考える」
「トランス」と言うと音楽やマインドなど様々な定義があるのだが、本章では、

「催眠状態などの場合に見られる、常態とは異なる精神状態。この状態では通常の意識が失われ、自動的な活動・思考が現れる」「広辞苑 第七版」より)

を定義している。催眠状態になると言うべきか、それとも自分自身の意識をどうするのかを考え、意識を変えていく技術はコミュニケーションを高めるためにも必要なことであるという。

第7章「騙すこと、依存させること」
「騙す」「洗脳する」「依存する」といったことは犯罪のイメージが拭えないのだが、脳やマインドにおいては使い方によっては良い方向へ向けることが可能である(もちろん悪い方向にも向けることができるため用途には注意を払う必要がある)。それぞれのことについて悪用することなく、自分自身をいかにコミュニケーション上手になっていくのかを取り上げている。

第8章「人の話を聴くということ」
よくコミュニケーション術では「聴く」と言う言葉を目にする。本来は「聞く」であればいいかもしれないのだが、「聴く」がミソである。相手の話を聴く際、心も耳も傾けることによって相手の考え方・感情など言葉では表すことができないことまでやりとりできる。もっともカウンセラーがカウンセリングを行うときにはこの「聴く」を徹底しているためである。

人との繋がりにしても、コミュニケーションにしても、天性のものかもしれないのだが、実際には積み重ねていくことによって磨き上げられる要素もある。もしコミュニケーションに難があると言う方であれば、本書でもって場数を踏んでみてはいかがだろうか。