項羽と劉邦、あと田中

「項羽と劉邦」とは、中国大陸において紀元前200年代に起こった「楚漢戦争(そかんせんそう)」を表しており、秦王朝を滅ぼした項羽(項籍)が、自ら「西楚の覇王」と名乗り「楚」を都にした国をつくった。一方の劉邦は漢王となったが、その2つを中心とした戦争が「楚漢戦争」である。当初は項羽が優勢だったのだが、劉邦が立て直し、項羽を破ったという戦争である。最終的に項羽が劣勢に立たされ、なおかつ敵対するものに囲まれたと言ういわれから「四面楚歌」という言葉も生まれるようになった。

その項羽と劉邦の闘いにサラリーマン田中がタイムスリップしてやってきたと言うもの。斉王と出会い、召し抱えられ、闘いに巻き込まれるという物語である。

歴史小説のように見えて、現代人がタイムスリップをして巻き込まれるというものだけに、歴史的な出来事を創作でユニークに仕立てるのだから面白味がある。しかも表紙にあるタイトルの字体も変わっており、それもまた本書の物語の魅力として引き立てている。