プラトン哲学への旅―エロースとは何者か

古代ギリシャの哲学において重要な人物は何人もいるのだが、本書で取り上げる人物はその中でもプラトンの哲学について取り上げている。プラトンはソクラテスの弟子であり、なおかつアリストテレスの師でもある。プラトンの哲学というと「イデア」と呼ばれる理論が有名であると同時に、ソクラテスの足跡を書面で残したという功績もある。そのプラトンの哲学はどのようにして醸成していったのか、本書では著作の一つである「饗宴」をもとにプラトンの恋や愛といった言葉について考察を行っている。

第一章「誘う―アカデメイアに立つ」
そもそも「饗宴」はプラトンの周囲の人物をキャラクターにしての対話を描いている。中心にはプラトンの師であるソクラテスがおり、ソクラテスの友人、さらには弟子など周囲を広げてみるとソクラテスを基軸にして大きな人の広がりを見せている。人の広がりの中で恋愛における「旅」について本章では取り上げている。

第二章「競う―恋愛とはどんなものか」
恋愛となると今となってはカタチは様々であるが、ここではあくまで男女の関係としておきたい。ここでは登場人物の一人とその恋人、さらにはその周りの人物との宴会と議論を取り上げているのだが、主軸の一人であるソクラテスが出てくるのはここからである。

第三章「求める―欲望は満たされるか」
恋愛を求めることで欲望が満たされるのか、本章では演説とソクラテスとの問答を取り上げつつ、欲望と愛の違いについての考察を行っている。

第四章「出会う―美のイデアを目指して」
さらには愛の中にある「美」はどのようなものなのか、本章では「美」にまつわる「イデア」を対話を通じて取り上げている。

第五章「乱れる―愛することが哲学だ」
愛することは哲学的においてどのように定義しているのか、人間関係が入り乱れる中で論じながら饗宴が終わるさまを描いている。

元々「哲学」はラテン語で「フィロソフィア」と呼ばれている。また「愛し求める」と言う言葉は「フィレイン」という。さらに言うと「知」は「ソフィア」とあり、哲学はそもそも「愛知の学問」と呼ばれている(決して東海地方の県を称しているわけではない)。そのため哲学と愛は密接に関係しており、「饗宴」はその本質を突いている。

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