銀河帝国は必要か?

もはやAIの技術が進化しており、ロボットが接客をすると言った時代にも入っていたとも言われている。もっともロボットにより人間の働ける所が少なくなってくると言った論者もおり、果たしてそうなるのかはこれからの技術革新になってからという他ない。

本書で紹介するのはロボットが一連の倫理的な行動から反する、あるいはありもしないようなことが起こりうると言ったことをSF小説にして指摘した、SF小説の大家であるアイザック・アシモフのSF作品をもとにして紐解いている。

第1章「なぜロボットが問題になるのか?」
「ロボット」と言うと今から57年前に第1作としてアニメとなった鉄腕アトムもあれば、ガンダムやマクロスなど切っても切れないものである。現実の世界でもロボット開発が行われており、実用化もされているケースも存在している。しかしながら、倫理学的にロボットはというと問題視している部分が多くある。なぜ問題視しているのかを取り上げている。

第2章「SF作家アイザック・アシモフ」
アシモフの話に入る。アイザック・アシモフは1920年に生まれ、SF小説を初めて掲載したのは1939年、「真空漂流」という作品であった。それから数多くのSF作品を発表したのだが、第一人者として名声を得始めたのは第二次世界大戦後になってからである。アシモフがSF小説を出し始めたころはまだ未開拓であり、なおかつ認知もあまりされておらず、小規模だったが、やがてSF小説市場は拡大していき、アシモフの名声は拡大することとなった。
その時に「ロボット」と呼ばれる概念と物語を描いており、ロボットにまつわる作品は数多くある。アシモフ作品に通じている「ロボット」とはどのような存在なのかを取り上げている。

第3章「宇宙SFの歴史」
SFというと宇宙や星々の文明、さらには宇宙人などを想起させ、なおかつ宇宙へのロマンを見出せるものであるものがほとんどである。アシモフの活躍にもある通り、戦前まではあまり広がりを見せなかった一方で、戦後になってからリアリズムが出てき始め一大ブームにまでなった。この「リアリズム」は日本におけるSF作品にも影響を及ぼしており、本章でも90年代に出てきた漫画をいくつか取り上げ、指摘している。

第4章「ロボット物語―アシモフの世界から(1)」
アシモフのロボット作品には著名なものがあり、最初に出てくるのが1950年に発表された「われはロボット」や1964年に発表された「ロボットの時代」が挙げられる。その登場により、ロボット小説のみならず、ロボット工学にも影響を与えた「ロボット工学三原則」が生まれたのもこの時期である。

第5章「銀河帝国―アシモフの世界から(2)」
アシモフのSF作品群の中で代表的なものがもう一つある。それは「ファウンデーション」である。化粧品のことを行っているのではなく、「ファウンデーションシリーズ」と呼ばれるシリーズで、「銀河帝国」を題材にして宇宙における国家のことを表している。これは後のSF作品のなかでも「宇宙」を題材にした作品に大きな影響を及ぼした。

第6章「アシモフと人類の未来」
アシモフはSF作品を通じて、人類の未来はどのような道になると考えていたのか、本章ではそのことについて作品群をかいつまみながら見出している。

本書を紐解いていくうちにあることを思い出した。というのは「鉄腕アトム」が漫画になり、1963年にテレビアニメ第1作がスタートしたのだが、そのアトムの舞台となったのが、ちょうど2003年の時である。それが現実に2003年になって、アトムの世界とどのような差異があったのかと言うことを検証した番組を視聴したことをふと思い出した。その番組には様々な技術は現実には進化していなかったが、電話だけは進化していたという結論である(鉄腕アトムにおける電話は「黒電話」だった)。

SFに限らず、小説は「創作」の域を脱しないのだが、もっとも現実になってしまうようなこともいくつかある。小説家もまた様々な史料や取材などを通じて描いているのだが、アシモフは現在のAIや技術革新、さらには宇宙開発のことを見出しながら描いたのではないだろうかと本書を読んで邪推してしまう。もう逝去してから28年経っているので実はも宇宙のブラックホールの中と言うほかないが。

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