「育休」が浸透し始め、最近では男性も次々と取り始めている。要因としては官民問わず制度を充実したこともあるのだが、実際に育休から復帰した時に活躍できるのかというと、そうとは限らない。育休をする・しないよりも仕事における資質や姿勢と言ったものなど育休とは関係ない要素によって評価されることが多いためである。
「育休制度」が充実している一方で、育休を取得してしまう失敗があるのだという。なぜ失敗をしてしまうのか、本書は制度や家族の在り方などの現状を映し出している。また、本書では他に「女性の社会進出」にも言及している。
1章「「制度」が整っても女性の活躍が難しいのはなぜか?」
女性の社会進出は目覚ましいものがある。その一方で女性がなかなか活躍できないといった職場も存在する。その要因として「男女」といった性差よりも、むしろ性別に限らず、仕事に対する意識・姿勢といったものが原因としてある。
2章「「育休世代」のジレンマ」
育休をする世代は現在社会で活躍する20代~40代といった世代と言える。その世代が復帰する、あるいは育休を取得するまでのプロセスにて、ある「ジレンマ」が生まれているのだという。
3章「不都合な「職場」」
今でこそ「育休制度」は充実しているのだが、その育休を取得するに際しての「壁」がある。それは法律や制度という以前の「企業風土」や「職場の『空気』」といったものがあり、その人、あるいは不特定多数からつくられた雰囲気にて醸成され、育休など新しい概念を阻害する要因にもなっている。
4章「期待されない「夫」」
最近では男性の育休も増えてきている。実際に男性の育休は受け入れられているのかというと、必ずしもそうとは言えない。むしろ子育てを行う妻から期待されていない現状がある。
5章「母を縛る「育児意識」」
共働きの世代であるため、育児をどうするかは大きな課題となる。夫婦だけで行うにも限界があり、両親に頼むとケースもある。子どもから見たら「祖父母」にあたる。日本では珍しいように見えるのだが、世界に目を向けるとアジアではごく当たり前に存在するのだという。
6章「複合的要因を抱えさせる「マッチョ志向」」
「マッチョ志向」とは、別に男性がボディビルダーの様な筋骨隆々になる訳ではない。それは、
「「女性の働きやすさ」を重視しない中で、夫への分担期待が低いケースは、女は男寄りを目指すが、男は働き方を変えないという形で、<マッチョ志向>とする。」(pp.195-196より)
とある。つまりはかつてあった「男は仕事、女は家事」という考えを持つ人のコトを表している。男女平等の意識がない批判をする方もいるが、実はそれ以上にもっと複合的な要因をもたらす発生源になるという。
7章「誰が辞め、誰が残るのか?」
育休を取ることによる、負の側面がある。それは辞める・残るといった分別である。「分別」にも様々な要因があるのだが、社会構造はもちろんのこと、制度、風土、人間関係など挙げるだけでもきりがない。
8章「なぜ「女性活用」は失敗するのか?」
女性活用はケースバイケースだが、失敗するケースもある。例えばどのようなケースが挙げられるのか、本章では事例と共に取り上げている。
女性活用や育休制度が成功するのも、失敗するのもケースバイケースである。もちろん失敗例も数多く存在するため、それを教訓に充実した制度や活用を行っていく考えの糧をつくる事ができるのが本書と言える。
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