患者よ、医者から逃げろ その手術、本当に必要ですか?

実を言うと私自身病院に行くことはめったにない。ここ最近行ったのは2年前の秋に風邪の症状が出て行ったくらいで、それ以来ない。さらに言うと2年前以前に行ったところを遡ると11年前の2009年まで遡るほどである。

私事はさておき、ここ最近病院に関して言うと、病院に行くとなかなか通院から抜けられないと言うようなケースもある。本書はあくまでやけど(以下:熱傷)などの皮膚を中心としたものを治療するために病院ではなく、自らつくり上げた両方を行った方が良いことを提唱している。

第1章「熱傷湿潤治療の夜明け、そして[なつい式湿潤療法(R)]へ」
本章のタイトルは「なつい式湿潤療法」の後に丸にRの文字が入る「登録商標マーク」が入るのだが、文字化けとなるため、「(R)」と表記している。
熱傷などの傷の度合いによっては皮膚科に行き、手術を受けるのだが、著者はそうではなく、湿潤治療と呼ばれるものである。「湿潤治療」とは、

「湿潤療法とは、体が本来持っている自己治癒能力を最大限に活かし、痛くなく、早く、きれいに傷を治す治療法です。
 具体的には、傷を消毒し、ガーゼを当てて乾燥させる従来の治療法と異なり、傷を水道水等で良く洗った後に被覆材で覆い、乾燥させずに治療を行います。」「逓信病院」ホームページより)

とある。人間にある治癒能力を使っての治療法であり、それを熱傷にフォーカスを当てて、著者独自の手法で編み出したのが、本章で取り上げる湿潤療法である。どのように行うかについても本章の最後にて取り上げられている。

第2章「標準的熱傷治療の問題点」
「標準的熱傷治療」は、

「消毒して軟膏を塗ったガーゼで覆う」(p.82より)

とある。これは「日本熱傷学会」にて提唱しているのだが、実際には初期の局所的療法にて取り上げられている。しかし著者は行うことによって激痛が伴い、植皮を行う必要があるなどのリスクがあるという。なぜリスクがあるのかについて、実際の熱傷の写真との比較を取り上げている。かなり生々しい写真であるため、傷などを見るのが苦手、あるいは抵抗のある方は文章だけ読み、写真は読み飛ばした方が良い。

第3章「湿潤療法の実際」
前半は2章と同じように写真がふんだんに使われており、中にはグロテスクな写真もあるため、それに抵抗にある方は後半の所から見ることをおすすめする。湿潤療法が具体的にどのように行われ、治療までのプロセスがどのように変化するのかを取り上げている。激痛が伴うことなく、長い目で見て傷跡がほとんど残っていない(もちろん熱傷の度合いによっては治療を行っても残るものもある)ことがよく分かる。また本章の後半では湿潤療法を通じて安心して治療できるプランを提唱している。

本書はあくまで熱傷の治療を病院ではなく、湿潤療法で行った方が良いと提唱している。もちろん病院は悪ではないのだが、病院で行っている治療法では痛みを伴う治療法が今もなお続いている危機感から本書を上梓したと言える。ただ湿潤療法は病院によって採用されているところも増えてきており、湿潤療法がスタンダードになる日が来るのかもしれない。