現在、日本では国籍法により一部を除いて二重国籍を禁じている。その取得になっている「一部」であるにしても期限を設けて国籍の選択が義務づけられている。日本では二重国籍問題が表面化されたのは最近でもいくつかあるのだが、根本的な議論は至っていない。そもそも日本人と国籍とはどのような関係で国際法と日本の国籍法との差異はどこにあるのかを取り上げるとともに、最近では発言で話題となっている蓮舫氏と国籍問題についても取り上げている。
第Ⅰ部「蓮舫氏問題を考える」
第一章「メディアの迷走」
国会議員になる前はグラビアアイドルやタレントなどで活躍し、2004年に参議院通常選挙に初当選し、以後議員として活動している蓮舫氏だが、2016年に民進党代表選挙の際に二重国籍問題が浮上した。初当選時の選挙当初では「台湾国籍から帰化」とあったが、実際には帰化せずにそのままになっている疑惑が生じていた。徐々に事が明らかになってくると、台湾の国籍喪失の届け出は不受理になっていたことが明らかになっていった。ところが一連の報道においてメディアではちぐはぐなものであったという。
第二章「あらわになった国籍法の矛盾」
二重国籍問題により「国籍法」の法律体系、特に二重国籍のあり方が明るみになった。中でも国籍法と二重国籍の矛盾、さらには同法の適用においての矛盾などを本章にて取り上げている。
第三章「国際結婚と国籍」
この二重国籍の在り方は最近でも出ている「国際結婚」でも引き金となる。特に外国人が日本人と結婚をする際に、日本国籍をとるかどうかなどもあるのだが、実際に二重国籍問題を機に国際結婚をしている家庭にも暗い影を落としていた事実がある。
第四章「日台ハーフの中華民国国籍」
日本と台湾のハーフと呼ばれる方々も多くいるのだが、その方々の国籍は日本・中華民国それぞれある。それぞれの事情について取り上げているのが本章である。
第Ⅱ部「国籍と日本人」
第五章「日本国籍の剥奪は正当なのか」
国籍法上では二重国籍になるような状況の時に期限を設けて片方を選ばなければならないとしている。捉え方によっては片方の国籍が剥奪されるというものである。片方を選ばなければならない事を巡っての訴訟もあったという。
第六章「国籍をめぐる世界の潮流」
二重国籍をはじめとした「多重国籍」に関しては国家の外交的保護にいて衝突の火種になる。それを避けるための条約もいくつか存在するのだが、日本をはじめとしたいくつかの国で署名こそは行っているもの、未だに批准といった適用までに至っていない。先進国の中には署名すらしていない国もあるため、世界的な潮流としては足並みが未だに揃っていない。また国によっては多重国籍が容認されている所もあるため、日本国籍取得の際の国際間衝突も少なからず存在する。
第七章「国籍法の読み方、考え方」
国際法は頻繁ではないものの改正はされているが、直近では2018年に改正されている。特に大きな改正としては2009年の改正であるが、認知された子どもの国籍取得のところが改正されているのだが、改正に際して反対運動も起こったほどである。国際法は読み方・考え方などを取り上げているのだが、多重国籍はここ最近では発生しやすい環境にある。そのことにより法的な対応が柔軟に行えるのかというと決してそうではないのだという。
二重国籍をはじめとした多重国籍のことはメディアでは取り上げられるものの、私たちにはあまりピンとこない部分が多い。とはいえ海外の人と関わるようになった際に、関わり方によって直面するものとして国籍法に触れるようなこともある。その際に現状としてどのような国籍に関する問題があるのかそれについて考える事ができるきっかけの一冊と言える。
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