定年不調

これまでは仕事人間のところから定年になってくると、心身共に不調をきたす方々もいるのだという。特にその傾向は男性に多く、なおかつ「更年期障害」の症状を訴える人も少なくないという。なぜ定年後に不調を来すのか、本書ではそのメカニズムと予防法を取り上げている。

第一章「定年不調の実態は男性更年期障害―その原因と症状」
仕事に限らず、様々な事を熱中しすぎてしまい、事をなして終わるとなると、ある種の抜け殻の如く燃え尽きてしまうような、いわゆる「バーンアウト(燃え尽き症候群)」により、心身的に徒労感や欲求不満を満たす人々がいる。では定年前後の「定年不調」はそれに似ているのかというと、確かにしている部分もあるのだが、「更年期障害」といった観点であること、そして男性に多いところなどが異なる部分にある。要因としては「男性ホルモン」がキーとなるのだという。

第二章「男性更年期障害の治療」
定年不調に限らず、男性における更年期障害はどのような傾向があり、なおかつ治療はどのように行っていくかについて取り上げている。更年期障害というよりも、精神的な不調に対してのカウンセリングが中心となっている。

第三章「定年前後のストレスケアで意識変革」
定年になってくると、仕事とは異なる様々なストレスに襲われる。それは仕事もさることながら、家庭や健康など多岐にわたる。そのため定年前後でストレスケアを行っていく必要があるのだが、どのようにしてケアをすすめていくべきかを伝授している。

第四章「妻の「夫源病」を理解できるか」
「夫源病(ふげんびょう)」とは、簡単に言うと、夫が原因とした妻の更年期障害や心身のストレスの総称として表しており、著者自身が命名した。本書のタイトルである「定年不調」の女性版である。もっとも定年不調よりも前に名付けられたのが「夫源病」である。その夫源病の傾向についてと、治療法、さらには夫婦関係の起因についても取り上げている。

第五章「男の孤独、孤立と向き合う」
定年前後になったことに限らず、男性の未婚はもちろんのこと、最近では「熟年離婚」や「卒婚」などが出てきており、男性が孤独になるケースも増えてきている。もっと言うと周囲の支えが全くと言ってもなくなる「孤立」になってしまう事さえもある。そのような状況の中でどのように向き合い、行動をして行けば良いのかを本章にて取り上げている。

第六章「定年不調回避のための行動療法」
定年不調を回避するためには、生活習慣や考え方、さらにはちょっとした呼吸などでも改善することができる。特に本章では「行動療法」として呼吸や声などによるストレスケアや、編み物や楽器演奏などを推奨している。

定年になる方々も多くなる。その中で定年になって健康的に生きられるか、あるいは不調のまま生きていくかによってその後の人生は大きく分かれてくる。目先の仕事も大事かもしれないが、「これから先」のことを考えてプライベートでも新しく何かを始めることは、心身共に健康になる多きかきっかけにもなり、なおかつ定年不調を防止することができる。