有権者って誰?

2016年の公職選挙法改正が施行されたことに伴い、選挙権の年齢は18歳以上となった。しかしながら投票自体に結びついておらず、10代の投票率は40%台、さらに昨年の参院選ではその40%台を割り込んだ。「私が1票を投じても変わらない」と言うような意識を持つ人が増えている表れなのかもしれない。

そこで本書である。有権者とはいったい何か、そして有権者が投じる1票の重みとは何かを改めて認識する一冊である。

第1章「有権者には4つのタイプがある」
有権者というと、18歳以上の日本国民という考え方で合っているのだが、本章ではあえて4つのタイプに分類している。4つのタイプとは、

1.消費者としての有権者
2.常連としての有権者
3.顧問としての有権者
4.市民としての有権者(p.14より)

とある。本章ではイギリスのオープン大学における「オープン・ユニバーシティ叢書」における政治学における出版物の中で「市民としての4つのタイプ」があるのだが、それを引き合いに出している。

第2章「浮動票という言葉が使われた時代があった」
今では言われているかどうかは分からないが、選挙番組や政治討論の中で「浮動票」と呼ばれるものがあった。これはどこに投票するのか分からないといった票の動きであり、浮動票の動向によっては選挙の情勢に変化をもたらす影響のあるため、浮動票の寄せ集めに躍起になる政党、あるいは立候補者も多い。しかしながら言葉自体は「浮動票」と言う言葉が使われなくなり、次章にて述べる「無党派層」と言う言葉に置き換わっていった。

第3章「無党派層が現代日本の政治を支配している」
無党派層は統計的には40%前後と言われている。自民党を始め、多種多様な政党が生まれ、その支持も分かれている状況によって実質的に無党派層の方が多くなっている事実がある。その無党派層は政治的にもどこに変わるのかによっては社会情勢によって変わってくる。もっとも変わるかどうかによって関心事にするかどうか、あるいは投票行動に結びつけるかどうかによって投票率、もとい投票される政党の比率も変わるため、躍起になっているのだが、冒頭にも述べたとおり投票率は下がる一方である。

第4章「有権者をとりまく社会は流動化している」
なぜ浮動票が「無党派層」になっていったのか、その要因としては今日の社会の変化にある。その「社会」は状勢と言ったマクロな観点もあるのだが、個人的な行動におけるミクロの観点からも変化が起こっており、社会の流動化によって浮動票が無党派層へと変化しているのだという。

第5章「選挙の前に足元の社会を知る」
選挙にて投票をすると言う行動も大切であるのだが、それ以前に自分自身の生活や社会がどうなっているのかを知る必要がある。その知るきっかけは結構簡単であり、今日では玉石混淆ではあるのだが、インターネットのニュースがあり、知り、考える材料を見出すことができる。少しでも「社会を知る」ことにより投票へと結びつけられる。

本書の書評をしている中でふと一つ思い出したことがある。それは選挙ではないのだが、2015年の大阪都構想における住民投票(「大阪市における特別区の設置についての投票」)である。大阪市の有権者200万人を対象とした住民投票としては大規模のものであった。連日のようにメディアで取り上げられ、なおかつインターネット上でも議論となったせいか、投票率は66%と最近の選挙の中では高い水準となり、なおかつ結果的には否決されたのだが、その差はごくわずかだった。また地区や年齢層によっても賛成・反対のばらつきがあり、私自身も速報を逐一見た。

たった1票なのかもしれない。しかしその1票はどんなかたちであれ、明日の日本を、地域を変えることが出来るとするならば、変えられること。政治においてもそれは同じ事である。もし「どうせ私の1票では変わらないでしょ」と思っているのであれば、本書も含めて過去の選挙や住民投票も暇があれば見ておくと良い。

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