ぼくらの中の「トラウマ」

人生生きていると、必ずといってもいいほど「トラウマ」と呼ばれるような出来事に出くわすことがある。それは事故や事件に遭遇するばかりではなく、ショッキングな映像を視聴してしまい、それがずっと記憶に残り続け、恐怖として残り続けるというような状況もありうる。本書はそのトラウマの傾向と対策について取り上げている。

第1章「トラウマ反応で起きること」
ある記憶を想起するような場面に出くわす、あるいは言葉を聞く、思い出すと言うようなことになると「トラウマ」が反射的に思い出す、いわゆる「フラッシュバック」のような状況に陥ってしまう。そのような状況になるのかと言うと、頭や心のみならず、身体が呼び起こしてしまい、めまいや吐き気などの心身の異常を来すようなこともある。

第2章「トラウマとは何か―そのメカニズム」
トラウマの度合いは植え付けられたもの、そして反応などによって重症度が分かれてくる。中にはある種の「障害」となり、日常生活に悪影響を及ぼすようなこともよばれるようなできごとにでくわすことがある。重症度とともに、どのようなメカニズムがあるのかについて本章にて取り上げている。

第3章「トラウマ反応という心の動き」
トラウマに対してどのように反応するかについては第1章でも取り上げたのだが、本章ではそこからより詳しく心の動きから身体の異常に至るまでのプロセスを取り上げている。

第4章「トラウマと向き合う―トラウマに苦しんでいるあなたに」
トラウマに対して、どのようにして向き合っていくのかというのが治療に向けてのプロセスになってくる。どのようにして向き合うのかが難しい部分があるのだが、本章では向き合い方、さらには意識レベルでのカウンセリングなどを伝授している。

第5章「からだを通して、トラウマを癒やす」
次は身体であるのだが、どのようなことをやるのかというと、そもそも「トラウマ」自体は「体験」に基づかれるものがあるとするならば、違う「体験」を行うことにより癒やしにもなるのだという。本章ではその方法を伝授している。

第6章「僕の「旅」治療」
著者自身もトラウマと戦っており、その治療法として「旅」をしたことを本章にて明かしている。その旅におけるエピソードはもちろんのこと、「旅治療」によってどのような効果をもたらしたのかについて取り上げているのが本章である。

第7章「安全感・安心感を提供する―周囲の人にできること」
もしもあなたの周りの人がトラウマを抱えていたらどうするか、と言うところである。もちろん人それぞれかもしれないのだが、「触らぬ神に祟りなし」でなく、トラウマを抱えている人が安心を持つような環境を整えることが大切であるという。

トラウマはいつどこで植え付けられるのかは分からない。もしかしたら今すぐに植え付けられてしまうかもしれない。その時当事者になる自分も含めた周囲はどのような反応をしたら良いのか、そのことも含めて考えさせられる一冊であった。