虚数はなぜ人を惑わせるのか?

数学の授業をディープに行っている方であれば少しは聞いたことがあるのかもしれない。本書で紹介するのは「虚数」と呼ばれるもので、高校の授業では「複素数」の中で取り上げられることが大いにある。本書はその虚数の世界について取り上げている。

第1章「虚数はどこに存在するのか」
1・2・3・・・など実際の数字があるものなど、計算における加減乗除ができる数のことを「実数」と指す。一方でその実数ではないものを「虚数」と言われ、たいがいは「i」で取り上げられる。冒頭でも述べたとおり、数学の授業では複素数の中で扱われる。もっとも虚数自体は16世紀にて定義されたのだが、その証明にあたって幾何学など扱われており、数学では欠かせないものとなっている。

第2章「人類の想像を超え発展した数学」
そもそも数学というと日常的には金銭などをはじめとした物理的な計算を行うことをイメージする。しかしながらわたしたちの社会は複雑なものであり、特にパソコンなどの機器を使うことも少なくない。その機器をつくる際には多くの演算が行われるのだが、その中に虚数もあるのだという。

第3章「ネコでもわかる虚数の性質となりたち」
本章では虚数について、よく使う複素数のシステムと共に取り上げている。いわゆる虚数や複素数の入門にあたる所なので虚数とは何かという根本的なところを知ることができる。

第4章「数学を合理的に再構成する」
数学の中では「展開」と言ったものがある。それは数式を組み立てて、そこからどのような答えや解などがでてくるのかと言うことを見ているものである。またその数式を構成する中で出てくるのが実・虚かかわらず「数」によって成り立っている。

第5章「読んだらハマる関数の世界」
数学が苦手な人であれば、拒否反応を起こすかもしれない。しかしながら関数はシンプルなように見えて実は奥が深い。よくあるのが直線的な一次関数や、曲線的な二次関数がよくあるのだが、虚数が出てくるとなると、平面で見られるよりも立体的な関数となるのだという。

第6章「もっとも美しい数式・オイラーの等式と虚数」
有名な小説の中に「博士の愛した数式」がある。その小説で出てくる数式は様々あるのだが、代表的なものとして「オイラーの等式」が挙げられる。著者自身もタイトルにあるように「もっとも美しい数式」と評しているのだが、その理由は何かを説明している。

第7章「ホーキングの虚時間の宇宙」
一昨年に逝去したスティーヴン・ホーキングはブラックホールの特異点定理で有名になったが、虚時間における宇宙についても研究を進めていた。その宇宙の理論などについて取り上げているのが本章である。

実数についても無限大といったものが成り立つのだが、虚数になってくるとその「無限大」と言う言葉だけでは収まらないほどの可能性や深さを秘めている。その側面を知ることができた一冊と言える。