ヒトは120歳まで生きられるのか 生命科学の最前線

世界的な長寿を見てみると、120歳以上生きた人物はいる。現在も疑義は絶えないものの、フランスのジャンヌ・カルマンが122歳まで生きたのが唯一である(かつては泉重千代が120歳まで生きたとあるが、信ぴょう性の疑義により取り消され、105歳に改められたのもある)。

人間の寿命は年々延びており、100歳を超える人も少なくなくなった。また100歳前後になっても矍鑠(かくしゃく・年老いても、丈夫で元気なさま)と生きる方々も少なくない。その長寿になる研究としてゲノム研究、さらにはiPS細胞などの医療技術の進化が挙げられる。生命科学研究の最前線を取り上げている野が本章である。

第一章「ゲノム編集によって世界が変わった」
本章のタイトルの「そもそも」と言うと、イメージされるのが「遺伝子組み換え」であるのだが、もっともゲノム編集と遺伝子組み換えは全くの別物である。そもそも「ゲノム編集」とは、

「ゲノムの一部を計画的かつ効率的に改変すること」「広辞苑 第七版」より)

とある。そもそも遺伝子組み換えは元ある遺伝子に特定の遺伝子を「組み込む」ものであり、元ある遺伝子を「改変する」ところが「ゲノム編集」である。
そのゲノム編集を医療に役立てる研究も行われており、実現すると大きな発展になる光明があるのだが、特許が大きな壁となって立ちはだかっているという。

第二章「iPS細胞の開発がもたらしたもの」
再生医療の中で最も期待されている物として「iPS細胞(人工多能性幹細胞)」が挙げられる。その研究の第一人者である山中伸弥氏であるのだが、同氏の取材の中でなぜ「iPS細胞」が生まれたのか、そのきっかけが明かされている。

第三章「iPS細胞による「心不全」治療」
iPS細胞は現在実用化に向けて動き出しており、本章で取り上げる心不全のみならず、アルツハイマー病やALS(筋萎縮性側索硬化症)などの治療にも役立てられる。そのiPS細胞実用に向けた取り組みと臨床実験について取り上げている。

第四章「がん治療はここまで進歩する」
元々「がん(癌)」は死に至る病というイメージが浸透していった。医療の進化により、がんの症状を和らげるばかりでなく、最近ではかんを完治するといった事例も出てきている。そのがん治療はゲノム編集により、大きく進歩することが期待されている。その要因について取り上げている。

第五章「遺伝子の改変はどこまで許されるのか」
iPS細胞による治療やゲノム編集により、医療は大きく進歩は間違いない。しかしながらいずれもリスクや倫理、さらには人権といった方面からの論争が起こっている所も事実としてあり、なおかつ法整備についても遅れている事を指摘している。

第六章「人はどのようにして百二十歳社会を生きるのか」
医療技術の進化などにより、平均寿命は右肩上がりが続いている。しかし平均寿命が延びるとなると、どのような影響があるのか、本章では医療や科学から離れ経済的なリスクについてを取り上げている。

再生医療はこれから進化を続け、平均寿命、さらには健康的に活動できる寿命、いわゆる「健康寿命」も伸びていくことは間違いない。しかしながらその医療の進歩に対して法律や経済など整備は十分かというと必ずしもそうと言えない。また生命倫理の兼ね合いも存在している。とはいえ、医療技術の進化と未来は明るいことは本書を見ても明らかと言える。

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