正義の申し子

「正義」を振りかざすような人を見るといい気がしない。もっとも私は「正義」と言う言葉が嫌いである。その理由としては昨今のこともあるのだが、正義を振りかざすような人は自身の価値観を「正義」と捉えて、相手にぶつけるような印象が強く、ぶつけられた側からすると迷惑と思ってしまうためである。

その「正義」を振りかざす手段というと色々あるのだが、本書ではYouTubeで振りかざす様な人が悪徳業者との戦い・・・かと思いきや、今度はヤクザと戦うと言ったドタバタな物語である。しかも「昨日の敵は今日の友」よろしく、悪徳業者との戦いを経て、なぜか共闘関係のようなものになり、なおかつヤクザ、女子高生と多くの人が入り交じり、物語がつくり上げられるシーンが何とも印象的だった。

もはや一種のコメディであるような痛快さと、今の日本社会の投影とを2つの要素が見事に絡んでいた一冊であった。