人間狩り

見るからに物騒なタイトルである。

本書は凶悪事件の「元」犯人を追う警察小説であるのだが、その「元」とついているのがキーポイントであり、なぜ「元」とついたのかと言うと、「少年法」の適用により、刑事罰を受けなかったというものである(2000年以前の少年法の事を指しており、現在の少年法に適用すれば本書の「元」犯人は刑事裁判にて罰せされる)。またその凶悪事件は殺人事件であった。

その事件がとあるダークウェブサイト、しかもオークションサイトにて漏洩したことから、ある人物が自警団をつくり、「元」犯人を追っていくと言う物語である。その行動をするさまを見ると、現在起こっている新型コロナウイルスによる「自粛警察」や「マスク警察」と言ったものに通じている印象がある。

本書を読んでいったときに先述の「●●警察」に通じている印象もあれば、少年法のもどかしさと言うのをありありと映し出している。ミステリーであり、解決はするものの、この2つのもやもやは拭いきれなかった。