小学校の通り魔事件が起こったが、その犯人が犯行後に自殺。事件の全容解明が非常に難しい中で解明していく中で、警察組織そのものの根幹を揺るがすような真相を見出すこととなった。
本書のタイトル「老警」はその事件の犯人の父親の事を表しているのかもしれない。本書の主人公は女性の警務部長であるのだが、その犯人の父親は管理職の警察官であった。しかしその父親もまた事件後に遺書を遺して自殺するという悲しい出来事があった。
解明が困難を極める事件を独自に究明していく中で、様々な「矛盾」が生じる。その「矛盾」の中に事件の真相が徐々に見え始めた一方で、警察組織そのものの「矛盾」を見出すこととなった。
元々著者は警察官僚だったことから、警察の内情をよく知っているだけに、警察内部をえぐり出しながら、事件の全容を解明すると言ったものが多い。ましてや内情を知っているだけあり、警察内部の根底そのものが文字からでも見えてくるため、恐ろしささえも感じられる。
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