天下を狙うために戦うのは何も武士といった男立ちばかりではない。政略結婚の中で、相手に嫁ぐという女の戦いがある。戦国時代における女の戦いというと、多くの作品としてくノ一といった女の忍者、さらには大名の側室などを表す「大奥」と言ったものが挙げられるのだが、本書はまさに大名の娘、いわゆる「姫」にあたるような人々の「戦い」である。
戦国時代に限らず、かつて武士や貴族などの上流階級における「結婚」は政治的な宥和もあれば、勢力拡大としての礎を担うこともあった。結婚を通して、それぞれの国との対立がどのように変わっていくのか、結婚をしても、女性としての戦いをやめず、力強く生きる女性たちの姿がここにある。
本書は短編集であるが、それぞれの「姫」は強さだけでなく、強く生きる中での「気高さ」を持ちつつ、乱世と呼ばれる中でどう生きたのか、その足跡が見事に描かれていた。
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