ゾンビというと、空想や架空上にいるモンスターのことを連想してしまう。ただ宗教上、ブードゥー教のようなゾンビ信仰を持つ所もあるなど、ゾンビを信じる所もある。ただ、ここで取り上げたゾンビはあくまで人のゾンビを表しており、本書は昆虫における「ゾンビ」である。本書では実際に様々な虫がゾンビとなっているという事例を持っており、人もゾンビになるのかどうかも取り上げている。
第1章「ゾンビアリは真昼に死ぬ―菌類と動物の攻防」
本章では実際にゾンビになった動物の一つとしてアリが取り上げられている。どうしてゾンビになったのかというと、キーワードとしてキノコなどの「菌類」が挙げられる。その菌類は食用としてはあまり使われないのだが、「漢方薬」の一つとして使われることが多い。
第2章「カマドウマの入水自殺・カワムツの奇行―パラサイトがつなぐ生態系」
本章で出てくるゾンビ虫は「寄生虫」である。小さな虫が他の虫の体内に入り、身体をコントロールするものである。本章のタイトルの2つは本来の虫では行動し得ないものであるのだが、寄生されたことにより、行動自体も寄生虫により、コントロール下に置かれてしまい、奇行になってしまうと言うのである。
第3章「身体の中の“エイリアン”―ホストをゾンビ化する捕食寄生者」
エイリアンというと、映画に出てくるものかと思いきや、ここ最近では虫の世界で起こっているのだという。本章では2007年にアメリカにてミツバチが群れの崩壊という謎の現象が起こったのだが、原因としては諸説あるものの、最も有力な説としてはダニの一種が奇行に走らせたと言われている。
第4章「人はパラサイトに操られるのか―原生生物トキソプラズマとネコと人類」
あまり聞き慣れない病気として「トキソプラズマ症」なるものがある。地域によって感染して病気になる・ならないの差が大きくなると言われており、病気になった後となると、重篤化し、身体の言うことが聞かなくなり、最悪死に至る。全体的に地球上で3人に1人は感染しているとも言われている。またこのトキソプラズマ症はネコにもかかる。トキソプラズマと呼ばれる原生生物は人間に病を引き起こす生物なのだが、それが人をゾンビの如く操られるのかについて論考しているのが本章である。
実は虫のゾンビ化はここ最近でも起こっている。主にセミに感染する病原菌がセミにかかったときに幻覚作用をもたらし、あたかもゾンビのようにコントロールされると言うような調査が明らかになったのである。人のゾンビ化は空想とはいえど、昆虫のゾンビ化はもはや現実のものとなっている。
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