“動物の精神科医”が教える 犬の咬みグセ解決塾

私は犬を飼ったことがないので分からないのだが、犬によっては「咬む」というクセがあるのだという。犬によりけりかもしれないのだが、愛犬の中にはその「咬む」ことにより実害を被っている方々も少なくなく、どうしたらよいのかわからない方もいるという。本書はその犬が「咬む」傾向について「動物の精神科医」の観点から取り上げ、解決法を提示している。

第1章「犬のしつけの迷信と真実」
そもそもなぜ「咬む」のだろうか。そこには、

「とても多くの要因があり、親犬からの遺伝、胎児の時の発達、母犬の子育ての仕方、社会化などの発達の問題や、脳や身体の疾患が関わっていることもあります。」(p.19より)

とある。犬の行動の原因と言うよりも、周囲の環境や遺伝といった原因があり、それを無理矢理抑えようとすることはマイナスであるという。もっとも犬のしつけは、人間の子育てと同じように、しつけの仕方の良し悪しで咬みクセを直すこともあれば、関係が悪くなり、さらに増長してしまうこともある。

第2章「犬の心の発達と問題行動」
まず認識すべき所は、「犬にも『心』があること」を持つ所にある。人間は理知的な要素があり、心を持っているが、犬は理知的な要素がないため心がないと思っている人もいるのだが、その認識を持ってしまうと問題行動の解決にすらつながらなくなる。
では犬はどのようにして「心」を持ち、発達するのか、そして心の発達においてどのような「問題行動」を起こすのかについて取り上げているのが本章である。

第3章「咬みつきの原因は「脳」にあり」
咬みつきの原因は第1章でも取り上げた通り多くあるのだが、その最たるものとしては「脳」にあるという。では「脳機能」のどこにその原因があるのだろうか、そして咬みクセは脳機能のどこの部分の以上でそうさせてしまうのか、そのことについて取り上げている。

第4章「犬にとっての「ストレス」とは何か?」
犬や人間に限らず、どの動物にも「ストレス」が存在する。ストレスを持ち過ぎてしまうことにより、ホメオスタシスのバランスが崩れ、心身ともに悪くなり、それが咬みクセにつなげることもある。しかし「ストレス」といっても人間と同じく、全部を解消しろというわけではなく、「適度に」持つことが大切になる。

第5章「攻撃行動はいかに学習されるのか?」
咬みつくなどの、攻撃行動はなぜ起こるのだろうか、そこにはストレスをはじめとした心的な要因がある。またその行動は学習能力によって繰り返されることもあれば、行動の在り方一つ変えることにより、回避につなげることができる。

第6章「「遊び」咬みの解決法」
「咬む」と言っても「遊び」と「本気」と分かれているという。「遊び」と言うと「甘咬み」と言うように相手を怪我させないほどの咬みつきであるのだが、行動によっては自然な行動であると割り切りつつ、どのようにリアクションを行うかが大切になる。

第7章「「本気」咬みの解決法」
根本的に解決すべき所は「本気咬み」の所である。なぜ本気咬みに結びつくのか、その要因を分析しながら、犬の安心させ、咬むことに結びつかせないためにどうしたら良いのか、そのことについて取り上げている。

冒頭でも書いたとおり、私は犬を飼ったことはない。しかしながら犬と関わることは少なくなく、犬に噛まれたことは一度だけある。小さいころのため覚えていなかったのだが、何かの拍子で手を出したところ咬まれた。本気咬みか遊び咬みかはわからない。30年近く前の遠い記憶である。しかしその時の犬はどのような心境だったのかもまったくわからない。私事の話が長くなってしまったのだが、犬が人を「咬む」と言うことは何かしらの「理由」が存在する。そこには犬の「心」があり、それをいかにして理解し、咬みクセを直していくかが大きなカギとなる。

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